恋の花（2）

＊花 65＊ ページ17

だんだんと、キレイに形が整っていく。


その様子を向かい側でじっと見るえり。





「ん〜…
そんな都合よく算数みたいにいくかなぁ？

どれだけ想われても好きにはなれない人がいるみたいに、

どんだけ傷ついても、辛くても、好きじゃなくなれない人もいるんじゃない？」









恐いこと

サラッと言う。






小さな希望が
さらに小さくなった。









でも…うん。


きっと正論。








"好きな気持ち"には

理屈も計算も通用しない。



だからこそ
想い合う横尾くんとりさちゃんは

やっぱり大きくて強いよ。









「ごめん！無神経だったね。」




多分
私の顔がすごく思いつめてて

あわてて謝る。






「ううん！！全然！

えりにも太輔にもすごい迷惑かけちゃって。
私が勝手に好きになったのに。ごめんね？」





「あのさ、私はAの味方だよ？
何をしても、どんな状況になっても。

それはきっと太輔くんも同じ。

だからさ、周りのことばかり気にしないで自分の気持ちだけに向き合いなよ！ね？」





そう言うと

両手に持った銀のへらで
器用にお好み焼きをひっくり返した。









"自分の気持ちだけと向き合う"




一度決めた進行方向。


ニカちゃんの勇気と
えりの言葉で

両脇にも違う道があるよって気づかされる。







辛いけど好き。

好きだけど辛い。






この無限ループから
抜け出せないでいるの。











一人になった帰り道。


道路の白線をはみ出さないように歩いた。


最後まで成功したら
願い事がひとつだけ叶うって勝手に決めて。




小さい頃よくやってたやつ。





あの頃は

帰ったらおやつがありますように！
なんてよくお願いしてたなぁ。




思い出し笑いしながら

よろよろと端まで到着。














諦めにも似た気持ちで

いちどだけつぶやいた。









"横尾くんの隣にいきたい"

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