恋の花（2）

＊花 50＊ ページ2

居心地の悪い教室。




ちらちら感じる視線。

こそこそ聞こえる私の名前。

にやにや覗く北山くんの友だち。




どうなったの！？

なんて他クラスの友だちから
質問数十件。









北山くんの告白。


それは突風のように

様々な想いを巻き込んで




吹き荒れた。

















「冗談…だよね？？？？」




慣れないことに
すでにうっすら涙目。

形を変える眉。




「ん〜ごめん、わかんない。
でも北山くんの周りがとにかく騒いでるのは確か。

女の先輩が特にヤバイ。」






中庭で追い越して行った先輩たちを思い出す。




北山くんの影響力のすごさ。






「まったく…、どんだけ遊んでんだ！！って感じだよねぇ。」




えりは呆れてる。









どうしよう。

なんかついていけない。







悪い人ではないのはわかるけど…


本気と冗談の境界線がみえない。









こんな状況でも
頭にこびりついて離れないのは

今朝の

シラっとした横尾くんの目。









何するわけでもなく
チャイムが鳴るまでトイレにいると

携帯が震えた。







『北山のことで何かあったら俺に言って。
大丈夫！

だから隠れてねぇで、出てこいや！！！笑』







まるでヒーローのように

いつもタイミングよく助けてくれるね。


太輔がいてくれるだけで安心する。















ギリギリに着席。


なぜか真面目に

すでに教科書開いてる太輔に
小さな声でお礼を言うと


うんうんって二回頷き

また教科書に目線を落とす。






教壇に立つ教科担任。

慌てて授業の準備をした。








先生はまるで
授業に興味なさそうな生徒に興味なさそうに

淡々と進める。



私もその生徒の一人と化した。









はぁー…




太輔のお陰で気持ちが楽になり

ほっと一息つけたのは束の間で



授業中は恐いくらいに
ひとりの時間がたっぷりある。











真剣に応えたらバカみたいなのかな？

冗談なのにって笑われる？




また先輩にキツイこと言われたら嫌だな。

恐い。







横尾くんは

どう思ってるのかな。


もし、北山くんの気持ちが本気だったら
応援とかしちゃうのかな…








そんなことばかりが頭を駆け巡り続け


せっかくもらった勇気が

しゅるしゅると音を立てて萎んでいく。






太輔ごめん。


やっぱりその日は

放課後まで雲隠れ。

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