10．あなたと出会った話 ページ10
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高校三年の冬だったかな。確か、二月だったと思う。
あまりの寒さで手が真っ赤になってて、一生懸命手に息を吹きかけて温めながら帰ってた時だった。
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いつも帰りに通る、小さな公園。
公園の前を通るまでは、ほんとにいつも通りだった。──･･･だったんだけど……。
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「ちゃんと持てよ〜！」
「掃除サボってたんだからこれくらいしろよ〜！」
「……っ」
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目に映ったのは、小学生の男の子達が一人の男の子をいじめている様子だった。
男の子は必死に抵抗するんだけど、結局何人かの力には勝てなくて。すぐそばにあった大きな水たまりの中に突き飛ばされて。
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助けてあげなきゃ。男の子達に怒鳴りつけてやらなきゃ。
そう決めて公園に足を踏み入れようとした。
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そしたらね、あなたが現れた。
翔「悔しかったな。よく頑張ったな。」
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魔法をかけてるみたいだった。
あなたが微笑むと、男の子は泣いた。
あなたが頭をポンポン、とすると男の子は涙を拭って優しく微笑んだ。
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その一部始終を見ていた私は、不思議な魔法をかけるあなたに釘付けになった。
これが、
一目惚れなんだ。そう思った。
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翔「そうそう。そしたらいじめっ子達は皆逃げてったよね(笑)」
A「…懐かしいですね、ほんとに。」
─･･･そう。私はあなたに一目惚れしたんです。
今すぐこう言えたらいいのに。
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A「今日は遅くまでありがとうございました。奥さんに心配かけないように、早く帰ってあげてください。」
翔「うん。ありがとう。それじゃ。」
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私の初恋は。
再会と共に、砕け散ってしまった。
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作者名：向日葵
| 作成日時：2016年4月11日 20時
