35．私をあなたの世界に入れてくれますか ページ35
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翔「…寒くない？」
A「…大丈夫。」
櫻井さんの腕に包まれて、ベッドに二人揃って横になる。
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A「……奥さんと離婚、してたんですね」
翔「……あ、バレてた？(笑)」
A「……この家。生活感がまるで無いし、」
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A「……櫻井さんなら絶対、奥さんがいる上でこんなことしないだろうから。」
……私の聞きたいことは一つだった。
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A「………私と会った時には、別れていたんでしょう、？」
A「………私と智が…、幸せになれるように。嘘、ついたんですよね…？」
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顔を曇らせた櫻井さんの顔を見て、やっぱり。と思った。
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智も櫻井さんも、やっぱり。
……私を大切に、大切に想ってくれている。
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櫻井さんは私の髪をかきあげて、おでこにある何年も前の事故の傷跡を撫でて口づけをし、
私の手と自分の手を重ね合わせて私の指に口づけをし、二つの手を絡み合わせた。
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翔「………ずっと好きだった。忘れられなかった。」
A「………っ」
翔「この手を俺が握れる日が来るなんて一生来ないと思ってた。」
翔「……結婚もAを忘れられると思って、何度も受けていたプロポーズに目を瞑って終止符を打った」
翔「……でも、そんな結婚うまくいくわけない。だって俺は、いつだってAを想ってたんだから。」
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翔「……俺さ、俺……」
A「……好き」
絡んでいた手を一度離し、次は私から櫻井さんの手に自分の手を絡める。
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A「……私を、」
A「あなたの世界の中に入れてくれますか」
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自分でも、何て恥ずかしいことを口走ったんだと顔が真っ赤になったけど
私はこの人の笑顔をずっと見ていたいと思ったから
智が私の笑顔をずっと守り続けてくれていたみたいに
辛い思いをしてまで、嘘をつき続けてくれていたみたいに
あなたを心から愛したいと思ったから
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翔「……こっちのセリフだよ」
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私は、心に決めたの。
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作者名：向日葵
| 作成日時：2016年4月11日 20時
