34．もう一度、愛し合う ページ34
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大きくて綺麗なマンション。
お互い何も話さず、エレベーターはどんどん上へと上がっていく。
手の力が自然と強くなって、ギュッと握ると櫻井さんもそれに答えるようにギュッと私の手を握った
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ガチャ、とドアが開く。
その音がやけに生々しく聞こえる
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「どうぞ」と櫻井さんが私の目を見て家の中に招き入れる。
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どくん、どくんと脈打つ心臓は信じられない程早く動いてて
あと一歩。その、たった一歩がとても大きく思えた。
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A「……私やっぱり、って、ひゃ！」
やっぱり帰ろう。こんなの良くない。と目を瞑った瞬間、櫻井さんの逞しい腕が私を抱き抱えて
入ることを拒んでいたその空間にいとも簡単に入り込んだ。
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私が降ろされた場所はどこを見ても寝室だとわかる空間で、
「あの、」と口を開こうとすると、その口を塞がれるかのように櫻井さんの唇が重なった
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櫻井さんの手が私の服に触れる。
シャツのボタンを上から一つ一つ、丁寧に外していって
甘い、甘い、甘いキスに私も頭がクラクラして、角度が変わることに漏れる甘い吐息にドキドキして
シャツを脱がされた私は、下着一枚になっていた。
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櫻井さんに頭を支えられながら押し倒される身体。
大きく綺麗な手と、色気を放つ唇が私の身体に触れていく
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何度も櫻井さんが「A」と呼ぶ。
私も「翔」と呼ぶ。
くっついては離れて、くっついては離れてを繰り返してキスをする。
ひとときも離れたくなくて、私からもキスをする。
櫻井さんの頬を手で包み込み、櫻井さんのふわっとした髪を撫でる。
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櫻井さんが「好きだよ」そう囁いた。
A「………っ、」
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私の目から溢れた涙を櫻井さんの指が拭う。
そしてまたキスをする。
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空白の数年間を埋めていくように、
二人の想いを重ね合うように
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窓から差しこむ月の光の中で、
私達は、愛し合う
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作者名：向日葵
| 作成日時：2016年4月11日 20時
