16．あなたの匂い。あなたの感触。 ページ16
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食事が終わって
櫻井さんは何も言わずに私を車の助手席に乗せた。
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──･･･そして向かった先。
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「こちらが鍵になります。」
翔「……ありがとうございます。」
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食事をした場所から車で30分ほどの所にあるホテル街。
その中でも、大人な雰囲気が漂うホテルに櫻井さんは車を停めた。
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A「………。」
翔「………。」
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ガチャとドアが開く音が脳内に響く。
そして部屋に入ると、
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翔「………A。」
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優しすぎる、甘すぎる。そんな声で、彼は私の名前を呼んだ。
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その声がした方に振り返ると、
あっという間に、彼の腕の中に引き寄せられる。
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爽やかな匂いが鼻の奥まで広がった。
今すぐ突き放すことも出来る。きっと抵抗すれば、櫻井さんはすぐに離してくれる。そう思った。
──･･･だけど、
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A「……櫻井、さん？」
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彼の背中は大きくて、筋肉質なのに。なのに、
─･･･今にも壊れてしまいそうなほど、脆かった。だから。
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突き放すことが出来なかった。
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作者名：向日葵
| 作成日時：2016年4月11日 20時
