53.好きの重さをはかるには ページ4
なんでもない日に贈る、なんでもないプレゼント。
そうだ。
これは特別なにか意味があるプレゼントじゃない。
俺は包装の解かれたプレゼントと、まぶしいくらいのキラキラスマイルの送り主を見比べ、まるで自分に言い聞かせるように、うんうんと頷いた。
だけど、このプレゼント。どうしても素直に喜べない俺がいることも否定できない。
もちろんプレゼントとしてもらったんだから、送り主にありがとうって言うのは当然のことなんだけど、いま使ってみてって言われたらどうしようって考えるともう恐怖しかないわけで。もし使った瞬間とんでもない数字が出て、それを見られでもしたら、俺の人生終わったも同然。絶対もう許してもらえない。
ごくりと唾を飲み込み、もう一度送り主を見る。
「どうしたぁ？ 克樹」
「ううん、なんでも…」
傍から見れば、きっと俺たちは対照的。
変な汗かいてる俺と小悪魔な笑みを浮かべた天使。
「これ、最高のプレゼントだと思わない？」
「う、うん…」
「もちろん、使ってくれるよね」
「う、うん…」
「いま」
「ごめん！ 嶺亜。いま、無理っ！」
俺は脱兎の如く、その場から逃げ出した。
─────────────────────────
今「あれ？ 嶺亜」
嶺「あ、こんぴ」
今「さっき、ものすごい勢いで克樹走っていったけど」
嶺「うん」
今「もしかして、これ？」
嶺「そ」
今「相変わらずだね」
嶺「まぁね。乗る？」
今「いいよ。俺が乗ったっておもしろくないじゃん」
嶺「だよね。克樹が乗るからおもしろいんだよ。体重計って」
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作者名：すもも | 作成日時：2020年4月24日 20時
