𓈒𓐍𓂃𓍯𓈒𓏸︎︎︎︎ ページ7
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「湊〜〜!!」
「んえ?…あ!姫〜!」
笑顔で手を振りながらこちらへ駆け寄ってくる女の人に、私は控え目にお辞儀をする。
わかっているけれど、私の他にも"姫"がいるんだと思うと、なんだか胸の奥がもやもやした。
「偶然じゃーんっ!妹ちゃんと何してたの?」
「え?あー、この子妹じゃな『お兄ちゃんに買い物に付き合ってもらおうと思ってたんですよ〜。』」
不破くんには申し訳ないけど、言葉を上から重ねて聞こえないようにする。
女の人は「んはは」と不破くんに少し似た笑い声を上げていた。一方不破くんは不満そうな困惑してるような表情を浮かべている。
「……姫。ごめん。こっちの子妹じゃなくてさぁ、俺の彼女なんよね。」
「彼女……?」
『ちょ…!不破くんっ…!?』
不破くんの指す姫が私なのか、それとも私の隣で驚愕の声を上げている彼女なのか、私にはわからなかった。
「この子が湊の彼女さん…!?え、ちょー可愛いんだけど!!やるじゃん湊〜!……あ、ていうか私邪魔だよね。帰るわ!デート楽しんで〜!」
『え??え、ちょっと…!!』
まるで嵐のように去っていった女の人。特に嫉妬するような悲しむような素振りもなく、嬉しそうに手を振って帰っていった。
きょとんとしている私。方をぽんぽんと叩かれて、ようやく我に返る。
「姫、ずっと聞こうと思っとったんやけどさ、なんで妹なんて嘘ついたん?……あ、いや!別に怒ってるとかそういう訳じゃないんやけど…!」
少し悲しそうに笑ってそう尋ねる不破くん。不破くんにとって、私が嘘をつくのは悲しいことなのだろうか。
そんな呑気なことを考えながら口を開く。
『ごめんなさい…。あの女の人、不破くんのこと好きそうだったから…だから、私が彼女とか言ったら不破くんの評判下がっちゃうんじゃないかなって……。』
不破くんは「怒ってない」と言っていたけれど、いつもより少しだけ声のトーンが低い不破くんが怖く感じてしまう。
俯いたまま不破くんの反応を待っていると、ふわりと頭を撫でられた感覚がして顔を上げる。
「にゃは。姫、そんなこと心配しとったん?あの姫は俺の元同級生やし、俺のこと好きとか絶対に有り得んよ。」
笑ってそういう不破くん。その笑顔を見て安心する。
それとあの女の人、元同級生だったんだ…。良かった、不破くんの元カノとかじゃなくて……。
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Near(プロフ) - 伊藤。さん» 夢主ちゃん独占欲つよつよですよね…!ちゃんとメンヘラ感出ててよかったです😌𓈒𓏸 最後までご愛読ありがとうございました!🙏✨ (5月6日 11時) (レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
伊藤。 - 結ばれて良かった....地味にメンヘラ感ある夢主好き (5月5日 23時) (レス) @page21 id: 900669addd (このIDを非表示/違反報告)
Near(プロフ) - みはさん» ありがとうございます😭短い期間でしたが、ご愛読していただきありがとうございました✨💕 (5月4日 22時) (レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
みは - ハピエンよかった😭😭毎日楽しみにしてました🥲💕 (5月4日 22時) (レス) @page21 id: 407a058ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Near | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時:2023年4月25日 20時