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「なぁ姫〜。ここでいいん?」
『うん。ここがいい。』
ぽすんと側にあったベンチに腰をかける。不破くんは確かめるように「ここでいいのか」と尋ねた。
ここがいいの。不破くんはもう覚えていないかもしれないけど、ここは私と不破くんが初めてデートした場所だから。
『ごめんね、不破くんお仕事で疲れてるのにこんなことに付き合わせちゃって。』
近くにあった花を見つめていた不破くんに声をかける。やっぱり、折角のお休みなんだし、おうちでゆっくりしたかったかな。
申し訳なくなって謝る私に、不破くんは「何言ってるの」とでも言いたげな顔をして、私の隣に座った。
「んは、そんなこと気にしてたん?別にええよ。俺は姫と一緒やったらどこでも楽しいし!」
『……なら良かった。最近の不破くん、お仕事いつもより忙しく見えたから…。』
そう言いながらさり気なく私の頭を撫でる不破くん。私は少し恥ずかしくなって、俯いたまま呟く。
「……姫。もうちょいこっち。」
不破くんは満面の笑みで手招きをする。近くに来い、ということだろう。でもなんで…?
頭の中が疑問符で埋め尽くされる中、私は大人しく不破くんとの距離を詰めた。
途端に、視界が暗闇に包まれる。
『えっ?なに…!?』
そう声をあげた時、ふわりと嗅いだことのある匂いがした。……あ、不破くんの匂い…?少し甘い、花のような香り。
っていうことは、今抱き締められてる…?
「にゃはは。びっくりしたぁ?___」
『待って……もうちょっとだけこのままがいい…。』
ぱっと手を離そうとする不破くんを引き止めて、消え入りそうな声で呟いた後にぎゅうっと抱き締め返す。
「どしたの姫〜。今日はくっつき虫なん?」
「にゃはは」と可愛らしい笑い声を上げながら私のことを再び抱き締める不破くん。
まるで子供をあやす時のように、「よしよーし」と言いながら私の頭を撫でたり、ほっぺをつんつんと突いたり、完全に私で遊んでいる。
別にいいんだけどさぁ、なんて思いながら不破くんのことを見た。
「ん?どした?」
『…ううん。なんでもない。』
そう尋ねる不破くんの後ろの方に、見覚えのある女の人が見えて、私はぱっと手を離す。
その女の人はこちらに気が付いたのか、表情を明るくして駆け寄ってきた。
彼女の前で私は"不破湊の妹"だから、にっこりと笑顔を作って少し不破くんから距離を取った。
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Near(プロフ) - 伊藤。さん» 夢主ちゃん独占欲つよつよですよね…!ちゃんとメンヘラ感出ててよかったです😌𓈒𓏸 最後までご愛読ありがとうございました!🙏✨ (5月6日 11時) (レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
伊藤。 - 結ばれて良かった....地味にメンヘラ感ある夢主好き (5月5日 23時) (レス) @page21 id: 900669addd (このIDを非表示/違反報告)
Near(プロフ) - みはさん» ありがとうございます😭短い期間でしたが、ご愛読していただきありがとうございました✨💕 (5月4日 22時) (レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
みは - ハピエンよかった😭😭毎日楽しみにしてました🥲💕 (5月4日 22時) (レス) @page21 id: 407a058ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Near | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時:2023年4月25日 20時