𓂃 𓈒𓏸𑁍 ページ11
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「姫〜、準備できた?」
『うんっ!今行くねっ。』
玄関でコンコンと靴の踵を鳴らして私を待つ不破くんに返事をした私は、ぱたぱたと足音を鳴らして玄関へ向かう。
少しヒールのある靴を履いて、いつもはあんまりしないお化粧もして、珍しく髪の毛も巻いてみた。今日はちょっと背伸びし過ぎたかな…なんて思っていると、大好きな彼から言葉が降ってきた。
「姫、いつもに増してかわいいなぁ。俺のために頑張ってくれたん?」
はにかむようにふわりと笑う不破くん。いつもより頑張ったの、気付いて貰えた…と心の中で喜んでいると、不破くんからもう一度「かわいい」が降ってくる。
『えへへ、今日はちょっと頑張ってみたの。ありがとう不破くん。』
「にゃはは、やっぱ姫が世界一かわいいわぁ。んじゃあ行こかー!!」
満面の笑みを浮かべて、不破くんは玄関のドアを開けた。その瞬間、春の優しい風が私の頬を掠める。
差し込んだ光に目を細めていると、不破くんが私の手を引いて外へと連れ出す。無邪気に笑う不破くんはいつもより幼く見えた。かわいいな、なんて思ったのは秘密。
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「___じゃあ姫。俺は部屋の確認してくるからちょっとだけここで待っとってなぁ〜。」
『うん。』
そう言いながら手をひらひらと降って、ホストクラブの奥の方へと消えていく不破くん。
私はその場に立ったまま、きょろきょろとお店の中を見回す。混んでる…のかな?人は多いけれど、混んでるのか空いてるのか区別が出来ない。
「お姉さん。誰かご指名ある?もしないんだったらさ、僕と一緒にお話していかない?」
『え?あ、あの……ちょっと…!』
少し少年っぽい男の人が、私の答えを聞く前に手を引っ張っていく。抵抗しようにも否定しようにも、上手く言葉が出てこない。
恐怖からか、ぎゅっと目を瞑っていると、求めていた声が耳に入ってくる。
「なぁ、ちょっと。姫の手、離してくれる?」
『…不破、くん……!』
明らかに怒っているような顔で、相手の男の人を威嚇する不破くん。口角は上がっているけれど、目が一切笑っていない。
男の人は顔を青くして、「すみませんっ」と覚束無い様子で頭を下げて、足早に去っていった。
今の男の人の反応を見るに……不破くんってホストの中で偉い立場の人なのかな…?
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Near(プロフ) - 伊藤。さん» 夢主ちゃん独占欲つよつよですよね…!ちゃんとメンヘラ感出ててよかったです😌𓈒𓏸 最後までご愛読ありがとうございました!🙏✨ (5月6日 11時) (レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
伊藤。 - 結ばれて良かった....地味にメンヘラ感ある夢主好き (5月5日 23時) (レス) @page21 id: 900669addd (このIDを非表示/違反報告)
Near(プロフ) - みはさん» ありがとうございます😭短い期間でしたが、ご愛読していただきありがとうございました✨💕 (5月4日 22時) (レス) id: 4ac6422a64 (このIDを非表示/違反報告)
みは - ハピエンよかった😭😭毎日楽しみにしてました🥲💕 (5月4日 22時) (レス) @page21 id: 407a058ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Near | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時:2023年4月25日 20時