処刑 ページ29
宙賊の生き残りが数名いた。
これが他の派閥出身なら友好度稼ぎに丁重に送り返すところだが、宙賊は和解不可なんだよな。貢ぎ物しても無意味だし。
流血嗜好者がいたら処理をお任せするのだが、三人とも該当しないのでとりあえず止血だけはしてやろう。
「こいつらどうするんや？次トレーダー来たら渡すか？」
マイルドな表現をしているがつまり人身売買を提案された俺は、少しだけ懐かしい気持ちになってからそれを却下した。
「いいや。それまで飼っとくのも手間だし、歩けるようになったら解放しよう」
「そうか。解放な。分かった。じゃ、俺が話つけとくわ」
わあたすかるなぁ(とおいめ)
きっと明日俺が起きたときにはいなくなっているんだろうな……着ていた装備だけ倉庫に置いて……懐かしいぜ……
弟は人見知りの気があって、俺が生き残った敵を救助すると「暴れるかもしれないし危ないよ！」と言ってさっさと解放したがった。
夜通し治療してああ良かった一命は取り留めたと安心して眠りについて次起きたら「元気になって出ていったよ！」ってさ。
でも爪が甘いんだよな。倉庫に皮と肉と服が増えてるんだ。
「だからコネシマ見てると弟を思い出すんだよなー」
「へ、へぇー……そうなんだ……」
この世からの解放な、完全に理解した。と顔に書いてあったコネシマがどうにも弟と重なるのである。
カラーリングだけなら鬱の方が近いんだけどな。弟は水色の髪だったから。まあ一番近いのは双子だけあって俺自身だが。
さて、サイカイトティーを飲みながら鬱と雑談して娯楽も満たされたことだし、破られた外壁を直してくるか。
…
流石に肉と皮は増えなかった。が、代わりにコネシマがモロトフカクテルを手に遠くの廃棄ゾーンへ向かう姿を目撃した。
石造りできちんと密室にしているとはいえ、あまり内部が高温になりすぎると周囲に飛び火しそうで怖いので勢いが衰えるまでは火災に注意しておこう。
ともあれ、被害がなくて良かった。コネシマも軽く小突かれたくらいで済んですでに完治しているし、改めて数えてみたらペットも減っていなかった。
リムでの戦闘は無傷の完勝かコロニー全滅かの両極端な二択が主だからな。
これは完勝と言っても良いだろう。
この調子なら……本当に、リザレクトシーラムを手に入れて、全員でこの星から脱出できるのかもしれない。
そんな期待を応援するかのように、ひとつの通信がコロニーに届いたのは秋の中頃のことだった。
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生姜(プロフ) - まうるもちさん» 感想ありがとうございます！頑張って書いた甲斐がありました！ (2020年2月26日 22時) (
レス) id: fe71aaf4f1 (このIDを非表示/違反報告)
まうるもち - 読みやすくて面白かったです！ありがとうございました！ (2020年2月26日 22時) (レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生姜 | 作成日時：2020年1月12日 22時
