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「こら。シッマに寝てろって言われんかったの?」

「部屋から出るなとは言われた。寝てろとは言われてない」

「熱あるんやから、大人しく寝とき」

「うん」


二人とも意外と優しいんだな……まあ脱出の頼みの綱がメンタルブレイクで死にかけたらそりゃそうか。
お粥は卵と米の懐かしい味がした。


「……声が聞こえたんだ」

「うん」

「俺……ずっと後悔してるから。その気持ちがサイコドローンで幻聴として出ちゃったんだろうな」

「そっか」


鬱はぎこちなく俺の頭を撫でると、こう言った。


「お前が後悔しててもな、僕らを助けて、脱出の希望を持たせて仲間にしたのは他でもないクレナイやから。他の誰でも、お前みたく上手くは捌けんよ」

「……そうかもな」


うん、本当に。
俺の仕事は誰にでもできるようなものじゃない。視点が違うからだ。
それに、もし俺でなく弟が生き残っていたら。
こんな辛さを、重荷を背負わせることになるのだと考えると、俺で良かったのだと思える。


「そうだ。またトレーダーが来てたんやけどシッマに任せてええ?」

「うん。……呪い商?珍しいな。衝撃の槍持ってきてたら買っといて」

「……伝えとくわ」


この状況で襲撃きたら困るなと思ったが、トレーダーが来てるなら押し付けられるな。よし。


「良くなるまでちゃんと休むんやで」

「はーい」


ペストやマラリアほどじゃないただの風邪だが、病気したときは休養して免疫をつけるに限る。
おやすみなさい、と声を掛けて、青い布団を頭まで被った。

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生姜(プロフ) - まうるもちさん» 感想ありがとうございます!頑張って書いた甲斐がありました! (2020年2月26日 22時) (レス) id: fe71aaf4f1 (このIDを非表示/違反報告)
まうるもち - 読みやすくて面白かったです!ありがとうございました! (2020年2月26日 22時) (レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:生姜 | 作成日時:2020年1月12日 22時

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