短編集~LDH ~ (ページ13)

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隼サイド

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あの時の夏。
もし、君にあの言葉を告げてたら変わってた？？

中学生から上京してきた俺は、中学校には割と早くに慣れたと思ってた。
クラスでも、お調子者って感じで思われてて男女共に仲が良かった。

一人は除いて。

その一人が、A。
ウチのクラスだけは、仲が良いからなのかクラスの人を下の名前で呼んでいた。

でも、彼女だけは苗字で呼んで来るし、皆んなも苗字で呼ぶ。

まるで、仲間はずれのように。

それでも彼女は気にしていないかのようにいつも席に座って何かの本を読んでいた。

そんな皆んなから遠ざけられた彼女の事が何故か気になってしょうがなくて。

話したくて、でも話しかけても無視されるんじゃないか、とか。
一人でいる空間を壊されたくないのかな、とか色々考えてた。

やっぱりチキンな俺は何にも出来なかった。

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俺は時々教室にいる事が嫌で図書館へ行くことがよくあった。

玲於とかに言ったらガラじゃないって笑われそうだけど(笑)

今思えば何かの本が読みたいとかじゃなくてただ、ただ、静かな所を探してただけなのかも。

そこで会ったのが君だった。

Aは図書館の奥の席に座っていた。

奥の少し埃っぽい陰になってる所に彼女はそこにいつも座っていた。

きっと俺が惚れたのその時だったのかもしれない。

いつも何かの本を読んでる君を〝綺麗〟だなんて思ったんだ。

それからは、図書館で会う時は話しかるようになった。
Aからも、俺からも。

それでもクラスの事とかを話すとかじゃなくて、ただただバカな小さい話とか。

その時彼女に言われた言葉が今もまだ引っかかってる。

『どうして無理した笑うの？』

Aの言葉に、頭を殴られたような気がした。

隼「....え、？！A、どうしたの？」

『だって今教室では見た事無いくらい笑顔だよ？』

そう言われても自分が笑ってるなんてわからない。
戸惑っていたら、Aが小さな鏡を渡してきた。

『ほらね？それに、教室の時より今の方がとっても素敵だと思うけど？』

隼「...............ありがと、」

やっぱり少し不思議なA。
そんな君にいつのまにか惹かれて、やっぱり好きになっていた。