悲恋の二人 ページ12
「A、ホンマに行くん…？」
『うん、だから離そうね』
ぎゅーー、と繋がれた左手を揺らすと寂しそうな目線を向けられる。
やめろその目！そんな可愛い顔して私を見るなァ！！
『友達と旅行行ってくるだけだから、ね？』
「………」
彼は眉を下げて遠慮気味に腕を広げる。
私もそれに応えるように背中に腕を回すと、温もりに包まれてドクンドクンと一定間隔で鼓動が聞こえる彼の胸板に顔を寄せた。
「…きす、」
『ふふ、はいはい』
あまりにも子供っぽくて笑ってしまっても今回は彼はムッとすることはなく、ただ口を重ねてくる。
1日会えない分も合わせるととても長くて、だけど拒むことは出来なかった。
いつもだったら彼の身長に合わせて少し背伸びをしているのだが今回は彼がしゃがんで離れるタイミングがイマイチ掴めず、体感で言えば数分しているようにも思える。
「…ごめんなさい、我儘言って」
『なんで謝るの！』
わしゃわしゃと頭を撫でるとされるがままで素直に可愛いと思ってしまう。
少しの好奇心と申し訳なさから彼の頬に口を付けると彼はしばらくポカンとしていて、状況を掴めたのか、頬に手を当てて口元を緩ませていた。
『じゃ、行ってきます』
「はい、行ってらっしゃい」
キャリーバッグを握り直してパジャマ姿の彼に笑いかけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1073人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メイヴ - もうとっくに完結してしまっていますが、この作品に出会えて本当に良かったと思います！面白いし、私の大好きなケンカップルのお話で最高でした！ (2022年8月22日 5時) (
レス) @page17 id: 88bf36ee26 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - 青年Aさんの寄生人がなくなってしまったから悲しいです。規制があったのでしょうか？ (2021年8月6日 20時) (レス) id: 061ad38b1c (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - めっちゃこの作品好きです。 (2021年8月6日 20時) (レス) id: 061ad38b1c (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 青年Aさん» すみません！お返事遅くなりました○¬ してますしてます！してなくても読んでいる作品もあります！ ぁ、覚えてくれているんですね照れます。自分のコメの実は双子でした！を見ていまだにニヤニヤしてます！ (2021年4月2日 21時) (レス) id: 6ac43c38eb (このIDを非表示/違反報告)
青年A(プロフ) - すみれいんさん» ありがとうございます、そう言って頂けて良かったです…！すみれいんさんは確か他の作品でもコメントを下さった方だと記憶しています。…すみれいんさんが覚えていなかったら少々恥ずかしいですが。どうぞどうぞ脳内で妄想を展開してくださいませ！ (2021年2月28日 21時) (レス) id: 071d1f2325 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
