旧校舎のキュウケツキ (ページ3)

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そして冒頭に戻る。

「っあっあの、…」

そ、そりゃそうだよね、頭にカバンぶつけるとか怒るに決まってる。
殴られても仕方ないんだけどもいざそういうことになると怖くて…か細い声しか出なくなる。

だけど、予想とは違い…

手ではなく渡辺くんの顔がどんどん近づいてくる。

その目は人間では考えられないくらい

黒目が真っ赤に染まって

口が開いたと思えば、

キラリと鋭い八重歯が…

「…ぇっ」

驚いた時にはすでに遅く、わたしの鎖骨上首の辺りを

カプり

と咬んだ。

「…いっ！」

チクッとした痛みを伴い身体中の熱がそこに集中していく。

そしてゴクゴクと音が聴こえるとともになぜか、背中が撫でられるようなくすぐったい感覚に陥る

「…っ…んっ…」

抵抗したいのに身体の力が抜けていってしまって
頭の中もふわふわしてきてもう何が何かわからない。

急に重くなった瞼が落ちてきて、危うく眠ってしまいそうになった時に、ぺろりと舐められた感覚があり、渡辺くんが起き上がった。

渡「…やべぇ」

渡辺くんが離れていって少しばかりか空気が触れる。

ふわふわとしていた頭がすっとひいて覚めてきた。
　

渡辺くんはそのまま立ち上がってスマホを出して何かを打っている。

わたしもフリーになった体を起こしてみた。
　

…え？…今のは…夢？

現実ではあり得ないことが起きて。

さっき目にした赤く光る目に鋭い八重歯…いやもはや牙。

そして血を吸うなんて…物語の中でしか聞いたことがない。

それも人間ではない吸血鬼という怪物のことだ。

目の前の渡辺くんは同じクラスで、高校生で、人間で…

もしかしたらどこかで頭を打って夢を見てたのかもしれない。

それくらい非現実的なことで。

これは夢。

そう思ってたのに。そう思おうとしてたのに。

渡「…ごめん、ちょっと待って。」

そう発した渡辺くんをみると、さっき目の前で見た顔と違い、いつもの渡辺くんに戻っているのに。

なのに…口元に赤い液体がついていて…

それに気づいた渡辺くんがぺろっと舌で拭ったところをみると

これは現実なのだ。と思い返された。

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