第十八話 ページ19
「ええ加減にせぇ」
痺れを切らし幽霊にそう言うときょとんとした後ぷくっと頬を膨らませた。
『何でよー！せっかくこんなに生きた人間と話せたんだよ！？いいじゃん浮かれてもー！』
駄々っ子のように喚く幽霊に煩いと言うと屋上の隅の方にすーっと移動しながら泣き真似をしていた。
「ぐ、グルさんあの子……」
トン氏が茫然と幽霊を見つめる。流石のトン氏も本物を目の当たりにして驚いているようだ。
「なっ！？なっ！？言うたやろ！！でもグルッペンと知り合いとは思わんやったわ！！！」
「余計なことしてくれたなコネシマ」
ふと、お化けが怖い組が気になりチラリと見るとひとらんはまだ顔を青くし、シャオロンはひとらんを支え要は幽霊に近づいていた。
「ちょっ、要危ないで！？」
ゾムが急いで要に近寄るが要はそんな事気にもしないように幽霊に話しかけた。いや、強すぎるやろ。
「あ、あの！貴方が噂の幽霊さん？」
は？何幽霊さんって可愛すぎか？
『うぇーん……ん？あっ、もしかして要ちゃ………………ん………………』
幽霊が泣き真似をやめすっと振り返った瞬間、張り付けられたような笑顔が、いとも簡単にポロリと剥がれ落ちた。
嫌な、予感がした。
「……あ、あの？」
駄目だ、要今のそいつに近づいたら
「ちょっ、どないしたん？幽霊ちゃん」
幽霊は事切れたように首をかくんと下げたかと思うとゆっくりと両手をあげた。
「もしかして、何処か痛いとか……」
まずい、まずい、気がする……俺の勘はよく当たる。
俺が手を伸ばしたのと、幽霊が要の首を締め上げたのは、ほぼ同時だった。
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作者名：にわとり。 | 作成日時：2019年11月16日 16時
