第十三話 ページ14
昨日のことが気になりあまり眠れなかった。あの死んだような目……人を軽蔑するような、いや、憎んでいるような方が正しいのか……?
「……ル……..グル……」
どちらにせよあいつが生前、何かあった事に間違いはない筈……。
「グルッ………」
いや、今はあいつの事よりも要とどう距離を縮めるか考えよう……今日も話しかけてはみるが……
「グルッペン!!」
「わぎゃっ!?…か、要か、いきなり大声を出さないでくれ、驚いたゾ」
「グルッペン、何度声をかけても返事しないんだもん」
可愛らしく頬を膨らませ俺を見上げる要に思わず頬が緩くなる。幸せさえ、感じて、嫌なことなんてすぐに忘れてしまう。不思議な物だな
「おーい?大丈夫?」
「ん?あぁ、悪かったな要」
「ううん、でも最近よくボーッとしてるよねグルッペン。何かあった?」
「…いや、ちょっと最近友人に相談にのってもらっててな…その事について考えていたんだ」
へらりと笑って見せれば要は驚いたように目を見開き俺に詰め寄ってきた。
「ぐ、グルッペン悩みあるの!?何で私達に相談してくれないの?!」
「お前…失礼やな、俺やって悩みくらいあるわ…変な心配かけさせたくなかったからな……」
「………グルッペン、抱え過ぎは、よくないからね私とかトントンとか、オスマンとか……みんなの事もっと頼ってあげてね…」
寂しそうに下を向く要に胸がくるしくなった。そんな顔をさせたかった訳ではないんだがな……俺はふっと笑って要の頭を撫でる。
「……グルッペン………?」
「ありがとな、要……」
「っ!……うん!どういたしまして!!」
そう言って花が咲いたように笑う要の笑顔に今度は胸が暖かくなり、好きだなぁ、と実感させられた。
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作者名:にわとり。 | 作成日時:2019年11月16日 16時