第十二話 ページ13
『あっ、グルちゃーん！おっはぁー』
昨日事を考えながら扉を開くと待ってましたと言わんばかりに俺に寄ってくる幽霊は昨日の話とは無関係そうな純粋な表情を浮かべている。
『ん？どうしたの？元気ないね』
「………いや、なんでもないゾ」
なるべく悟られないようにポーカーフェイスを保ったまま話す。幽霊はそっか！っと言ってパッと笑った。『そーだ！もうすぐ体育祭だよね！』
「…えっ、あぁ、そうだが？それがどうした？」
『どうした？じゃないよ！！ビッグイベントの一つ！青春有名イベントじゃん！！』
興奮気味になりながらきゃーと言って俺の周りを飛び回る、なんだこいつ鬱陶しいな。
『そこで要ちゃんといい感じになれば距離をぐっと縮められる！！』
「そう上手くいくか？」
『任せなさーい！そのために私が居るんだもん！！』
「もん…なんて要以外が使うとなんか……こう……痛いな」
『グルちゃんってイケメンなのにそういうとこ勿体ないよね』
真顔でお互いをディスり合うと幽霊がふっと下を見た。
「…？何かあったの……か…」
じっと見つめたまま微動だにしない幽霊を見かね自分も下を見てみると丁度体育館裏が見え、そこに顔を真っ赤にした女がシャオロンに告白していた。
「シャオロンじゃないか、まぁあいつもモテるからな…」
まぁ、断るんだろうけど……そんな事を考えていると案の定シャオロンはぶっきらぼうに告白を断った。女は今にも泣き出しそうな表情を浮かべシャオロンの顔をじっとみて何かを言っている。あいにくこちらまで声は届かない。ちらりと幽霊のマヌケ顔を見ようと隣を見た。
「…………おい、おい………おい！！！」
『…っ！！え、あ、れ？グルちゃん？』
何度目かの呼び掛けにようやく応じた幽霊。きょとんとした顔で俺を見る。
「お前、大丈夫なのか？ちょっと変だゾ？」
『えっ！そんな変な顔してた！？うわっ恥ずかしー！！』
こいつ……自覚ないのか………告白されていた時シャオロンの事を
・
この世のものでないような目で見てたことに…
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作者名：にわとり。 | 作成日時：2019年11月16日 16時
