356 side Nissy ページ6
「今の私にできることって、少ない。
前みたいに仕事もプライベートも、って
言えないけど。
これだけは私にしかできないって
思ってる。」
俺の髪をそっと撫でる
Aの手の感触が
俺の心を溶かしていく。
心にずっと閉じ込めて
見ないふりをしていた
不安もプレッシャーも、ストレスのかけらも。
ふっと軽くなる。
「朝ちゃんと起こしてあげるから、
ゆっくり眠って。
で、ちゃんと体休めて、
必要なら病院もついてくから。」
そのセリフにはっとした。
自覚はあったような、
無かったような。
だけどこのところ感じている不調は
気のせいにしてやり過ごすには
あまりにも大きい。
西「ねぇ。抱きしめて寝ていい？」
「もちろん。」
西「明日の朝も、ちゃんといるよな？」
「はい。朝ご飯、作るね。」
西「帰ってきても、まだいるよね？」
「うん。また一緒に寝よ。」
ぎゅっとしてくれたAに体重をかけると、
ふたりでベッドに倒れ込む。
そして二人でくっついたまま布団に潜り込んだ。
やっぱり。
Aの前では弱いし、情けない俺。
そんな自分を隠さなくていい
唯一の相手。
西「ありがと、A。」
「うん。私もありがとう。」
西「あのさ…
ドーム終わったらさ、
両親に会ってほしい。
結婚するって…話したんだ。
この前。」
「はい。わかりました。
緊張、するけど。」
西「そしたらさ…。
華音、が…さ、
いて…。」
話したいことがまだあるのに、
だんだん開かなくなるまぶた。
「うん。」
西「それ、で…さ…」
Aを抱きしめたまま、
眠りに落ちる瞬間。
世界で一番幸せだと
思った。
「おやすみ。たか。」
何となくそう聞こえた気がした。
よしよし、って
小さい子にするみたいにずっと撫でてもらって。
甘えるのも縋るのもAだけ。
わかってる。
まだ、完全じゃないAに頼り切る
ことなんかできないし、
しない。
だけど俺達は、
補いあって、重ね合ってやってきた。
これからもきっと、
そんな人生を歩むんだ。
もうすぐ、
初のドーム公演。
このタイミングでAが戻ってきてくれたことで
俺は俺らしく
その日を迎えることができたんだ。
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リリィ(プロフ) - fukaさん» 出逢えてよかったって言ってもらえてとても嬉しいです。書いてよかったです！ありがとうございますー★ (2020年4月12日 15時) (
レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
fuka(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ 前作から読ませていただき、何度も涙がこぼれました。切なさや悲しさ、喜びなど、たくさん感動したりして、すごく素敵なストーリーだったなと思います！ 終わってしまって寂しいですが、この物語に出逢えてよかったです！ (2020年4月5日 22時) (レス) id: 0f2ddad342 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Yuiさん» ありがとうございます☆頑張ります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - ゆにしぃさん» コメントありがとうございます！また読見に来ていただけるようにますますがんばります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ゆにしぃ - 長編お疲れ様でした！このstoryは本当に大好きです！！（side story楽しみにしてます！） (2020年3月29日 12時) (レス) id: 2657bef5db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ
| 作成日時：2019年12月1日 8時
