392 side Nissy ページ42
そして深夜。
ふたりで区役所に向かう。
西「なんか緊張する。」
「うん…。」
お願いします、
と深夜窓口へ婚姻届を提出した。
・「はい、では、お預かりします。
おめでとうございます。」
淡々と告げられたその言葉に、
「ありがとうございます。」
西「ありがとうございます。」
そう答えて、注意事項のようなものの説明を
聞いたあと。
またふたり、車に戻る。
エンジンをかけると、
緊張の糸がほどけて行く。
あまりにも呆気なくて、
実感がない。
「あれで、よかったのかな？
なんか…
実感、ないです。」
西「うん、俺もそう思ってたとこ。」
どちらともなく、
手を繋いだ俺達。
西「俺さ。
Aのこと、
いつから好きだって思ってたのか
正直よくわからない。
気づいたら、心の中にAがいた。
中途半端に縛り付けてた時期もあったし
離れようとしたことも、あったよな。」
「はい。」
西「付き合い始めた日、とか、初めてキスした日、とか…。
ちゃんと覚えてない。」
「…うん。私も、かな。」
西「誕生日もクリスマスも、まともに一緒に過ごせたことないかもしれない。」
「そんなの…気にしてないよ。」
西「でも。
今日、この日はさ。
俺達の初めてで、
たったひとつの記念日。
俺とAが家族になった日。」
「家族になった日？」
西「そう。」
繋いだ手をぎゅっと握りしめる。
西「結婚記念日って、さ。
家族としてのスタートの日だなって思わない？」
「思う…。
もう…私、ひとりじゃないんだね。」
西「うん。
西島A、だね。」
「西島A…です。」
なんか恥ずかしいかも、
と自分で言って真っ赤になって俯くA。
西「そうやってすぐ赤くなるとこ、変わんないな。
ちょっとからかうとすぐ真っ赤になって、
かわいいなぁって思ってたなぁ。昔。」
「え！からかってたんですか？ひどいっ！」
西「え！気づいてなかったんですか？」
ちょっとだけAの真似をしてみて、
ふたりで顔を見合わせて大笑い。
西「帰りましょうか？奥さん。」
「お、お、奥さん…？」
西「なんだよ、奥さんじゃんか。」
「そうだけど…恥ずかしいかも。」
今度は耳まで赤い。
あ、またからかったでしょ、と
くすくす笑う俺をじろりと睨むA。
そんな顔も、どんな顔も
全部愛おしいんだ。
そう心の中で思いながら、
家へと車を走らせた。
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リリィ(プロフ) - fukaさん» 出逢えてよかったって言ってもらえてとても嬉しいです。書いてよかったです！ありがとうございますー★ (2020年4月12日 15時) (
レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
fuka(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ 前作から読ませていただき、何度も涙がこぼれました。切なさや悲しさ、喜びなど、たくさん感動したりして、すごく素敵なストーリーだったなと思います！ 終わってしまって寂しいですが、この物語に出逢えてよかったです！ (2020年4月5日 22時) (レス) id: 0f2ddad342 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Yuiさん» ありがとうございます☆頑張ります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - ゆにしぃさん» コメントありがとうございます！また読見に来ていただけるようにますますがんばります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ゆにしぃ - 長編お疲れ様でした！このstoryは本当に大好きです！！（side story楽しみにしてます！） (2020年3月29日 12時) (レス) id: 2657bef5db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ
| 作成日時：2019年12月1日 8時
