376 side Nissy ページ26
空港まで送るよ、と言うと
急にさみしそうな顔になった華音。
華音「もう少しここにいたかったなぁ。」
夏のツアーの時には必ずAと帰るからと約束すると、渋々頷いて荷物を持った。
その時。
見覚えのある顔が俺の視界に入る。
西「…っ！あ、いつ…。」
「たか？」
俺の小さな呟きに反応したAが
怪訝そうにこちらを見る。
まだAは気づいてない。
気づかせたらだめだ。
西「Aは華音たちといてくれる？」
「はい。じゃあエントランスにいますね。」
と華音と両親と歩いていく背中を見送る。
ふぅ、と息を一つ吐く。
あいつを
Aの視界に入れるわけにはいかない。
Aを追いかけようとしてるのか、
一歩踏み出そうとしたそいつの後ろに回って
声をかける。
西「何してんだよ、お前。」
びくっと背中を震わせて立ち止まったそいつが、
ゆっくりと振り返る。
西「もう俺たちに近づかない約束だったよな。
なんでここにいる？
なんでAを追いかけようとしてる？」
Aをあんな目に合わせて、
苦しめた張本人。
出る声は知らずに怒りを孕む。
あの時は、
冷静になれなくて。
今になってみたら殴ってやりたくらい憎くて、
言ってやりたいことも次から次へと思い浮かぶ。
１年以上たって、ようやくここまできたのに、
まだAを苦しめるのか。
あの光景が昨日のことのように
頭の中をよぎる。
腕を繋がれたA。
殴られて腫れた頬。
切れた唇。
涙でぐちゃぐちゃなAの顔。
破かれたAの服から見える肌。
Aに跨る
徹、と呼ばれたこの男。
過呼吸を起こしながら
必死でこいつに訴えかけたAの姿。
封じ込めていた、
人を憎いと思う黒い感情。
そいつは。
徹は。
俺を見てもなお、
Aの姿を追おうと視線を動かす。
その腕を掴み、駐車場へ向かう。
1分、1秒たりとも
こいつの目にAを映したくない。
西「言えよ。
何やってんだって聞いてんだよ！」
コンクリートの壁に
その体を押し付けた。
許さない。
俺はこいつを、許さない。
絶対に。
さっきまで感じていた
あたたかさと相反する怒りが
俺の心を冷たくしていった。
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リリィ(プロフ) - fukaさん» 出逢えてよかったって言ってもらえてとても嬉しいです。書いてよかったです！ありがとうございますー★ (2020年4月12日 15時) (
レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
fuka(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ 前作から読ませていただき、何度も涙がこぼれました。切なさや悲しさ、喜びなど、たくさん感動したりして、すごく素敵なストーリーだったなと思います！ 終わってしまって寂しいですが、この物語に出逢えてよかったです！ (2020年4月5日 22時) (レス) id: 0f2ddad342 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Yuiさん» ありがとうございます☆頑張ります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - ゆにしぃさん» コメントありがとうございます！また読見に来ていただけるようにますますがんばります！ (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ゆにしぃ - 長編お疲れ様でした！このstoryは本当に大好きです！！（side story楽しみにしてます！） (2020年3月29日 12時) (レス) id: 2657bef5db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ
| 作成日時：2019年12月1日 8時
