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家族ってあたたかい。
自然にそう感じられる空気感。
娘が増える、なんて言ってもらえて
なんだかどこかくすぐったい気分。
幸せな気持ちでいっぱいだったけど、
会計に立つたかを見て、
慌ててその後ろを追った。
その立ち方も歩き方も
腰をかばってるとしか思えない。
だけど、ご両親の前でなんでもないふうを
装っていたから気づかないふりをしてた。
腰、大丈夫ですか?
と問えば、バレてた、やっぱりなんて
薄く笑うけどたぶん、
ツアーで無理してた影響がでてるんだ。
声だって、少しかすれてる。
西「家に帰ったらゆっくり休むから、大丈夫。」
そんなこと言ってもやっぱり心配なものは心配で。
空港からの帰りは私が運転しようと
決めた。
たかと別れて、
華音ちゃんたちとエントランスへ向かって歩く。
「…っ?」
今朝も感じた何か。
恐る恐る振り返っても、
誰もいないし、何もない。
知らずに止めていた息を吐く。
母「Aちゃん、どうかした?」
「…いえ、大丈夫です。」
そう答えてみたものの、
嫌な予感が拭えなくて立ち止まる。
なんだろう、この感じ…。
無性にたかに隣りにいて欲しい。
やっぱり、車まで一緒に行けばよかった。
「あ、あの。
私、やっぱりたかのとこ戻ります。
なんかちょっと心配で。」
母「そうね、どこか痛そうな顔してたわ。」
そう言ったお母さんの言葉に、
すごいな、と思う。
たかは隠してたつもりでも、
お母さんはちゃんとわかってる。
お願いね、というたかのお母さんに
ペコリと頭を下げて
急いでもと来た道を戻った。
地下の駐車場に着いて周りを見回して、
たかの姿を見つけた。
誰かと、話してる…?
ただ、…だけ、
Aさんに…
それは…、俺が…
でも俺…
途切れ途切れに聞こえる会話、
そして、
西「ふざけんなっ!
そんなの、許すわけないだろ!」
「た、か…?」
思わずその名前を呼んでしまった私。
はっとしたように振り向いた
たかが、
西「A!?
な、んで…?
こっち来んな!戻れっ!!」
聞いたことのないくらい怖い声で
私にそういったたか。
その向こう側に
見えた顔に、私の体は凍りついたように
動けなくなった。
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リリィ(プロフ) - fukaさん» 出逢えてよかったって言ってもらえてとても嬉しいです。書いてよかったです!ありがとうございますー★ (2020年4月12日 15時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
fuka(プロフ) - 完結お疲れ様でした! 前作から読ませていただき、何度も涙がこぼれました。切なさや悲しさ、喜びなど、たくさん感動したりして、すごく素敵なストーリーだったなと思います! 終わってしまって寂しいですが、この物語に出逢えてよかったです! (2020年4月5日 22時) (レス) id: 0f2ddad342 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Yuiさん» ありがとうございます☆頑張ります! (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - ゆにしぃさん» コメントありがとうございます!また読見に来ていただけるようにますますがんばります! (2020年3月31日 10時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ゆにしぃ - 長編お疲れ様でした!このstoryは本当に大好きです!!(side story楽しみにしてます!) (2020年3月29日 12時) (レス) id: 2657bef5db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ | 作成日時:2019年12月1日 8時