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周りの景色が白く霞んで
うまく息ができない。


細い路地に入ったところで
がくんと膝をついた私。



か「Aちゃん!」



頭の中で声がする。




“あの人が仕事と速水さん
どっちが大事かなんてわかりきってるでしょ。”




どんなに耳をふさいでも
聞こえてくる。




あの人達の声。
あの時の音。





「や、だ。

いやっ…たかっ助けて…たか…」




頭の中で響く聞こえないはずの声が
どんどん大きくなる。



いやだ、怖い。




たすけて、たか。



か「Aちゃん!」



かなさんが
私を抱きしめて背中を擦ってくれて
大きな声で名前を呼ぶ。


あの指輪を探し求めて、
首元を掻きむしるように動く私の手を握って



か「大丈夫。大丈夫…。」



と繰り返し言ってくれる。




呼吸が落ち着く頃にはぐったりと
かなさんに寄りかかってしまっていた。





そこからどうやって
部屋まで戻ったのか覚えてなくて。

いつの間にか眠ってしまっていたらしく、
目を開けると自分の部屋にいた。




体を起こすと、
たかへのプレゼントが
テーブルに置いてあるのが見えた。


その隣にはかなさんから、
今日はゆっくり休むように
とメモが残されていた。



スマホを取り出して
かなさんにお詫びとお礼のメッセージを入れて、
ベッドの上で膝を抱える。





手にしていたスマホの中の
たかと二人で映ってる写真を見つめて
ため息をつく。




たかは、
私がいなくても変わりなく仕事をしてる。




海外で撮影した、MV。

ショートフィルムの上映会も大盛況。

2ndツアーももうすぐ発表になるはず。

グループでは、
フェスにアリーナツアーに、ドームツアー。




なにをやっても、
ちゃんと結果を出して前に進んでる。




でも、私は?



まだ私は乗り越えられていない。



少しずつ、
前に進めていると思っていたのに。
もしかしたら、
立ち止まったままだったのかもしれない。



たかと離れてまでここにきたのに、
またこんなことになってしまった。




もしかしら、私がいない方が
たかはうまくいくんじゃないか?




ふっと頭をよぎるそんな考え。




だめだ、こういうの。
そう思っても一度湧き出た思いが
なかなか消えない。




スマホには
たかからのメッセージを受信してる通知。




だけど。
今の私はそれを見ることができなかった。

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作品ジャンル:恋愛
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リリィ(プロフ) - ふみさん» 今更お返事ごめんなさい!いつもありがとうございます!続き頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - AYさん» 今更感ありありのお返事でごめんなさい(泣)読んでくださりありがとうございます!お詫びに?更新頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - めっちゃいいとこ!!早めに続編頼みます! (2019年11月25日 23時) (レス) id: 017350f460 (このIDを非表示/違反報告)
AY(プロフ) - 本当に、ほんっとうに主人公さんの可愛さにはかなわない。というかリリィさんにはかなわない!読むのが楽しみで頑張れます。いつもありがとうです〜 (2019年11月25日 20時) (レス) id: d7256c5ba1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» 帰ってきちゃったー☆予想通り、ですかね笑 (2019年11月25日 17時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2019年7月11日 20時

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