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231 side Nissy ページ31

隣を見れば。


唇を噛み締め、
涙を流すA。


「ありがと…。」



西「なんだよ、泣くなよー。」



今泣いても、涙を拭いてやれないだろ?

手の甲で、
片方の頬を撫でる。




「微笑みの花。


幸せの花…かぁ。」



すん、と鼻を啜りながら、
涙を拭いたA。


「たかの歌声って不思議。

体の中に染みてくの。


それで、
私の一部になる気がするんだ。」



赤くなった目でこっちを見て、
笑う。


「たぶん、もう、私の体の半分は、
たかの歌声になってると思う。」



西「まじか?」


「うん。だって、ほぼ毎日。

たかの歌。
たかだけの歌。


聞いてるもん。」



久しぶりに、
心から笑ってくれてる、そう思えた。




______




冬の海は寒い。



相変わらずその海に
人の姿はあまりない。



自然と手を繋いで、
歩く砂浜。



海風が冷たい。



そしてあの時と同じように、
Aを後ろから抱きしめて
二人でブランケットにくるまった。




西「寒くない?」



「顔だけ、寒い。」



と笑うA。




今日は、
すごく穏やかな顔をしている。
こんなふうに思ってること、
全部言ってくれたらいいのに。



そんなふうに思いながら
少しずつ変わっていく空の色を
ふたりで無言で眺める。




沈みかけた夕日が
空をオレンジ色に染める。



海はキラキラ光ってる。



「きれい…。」



西「うん、なんか生きてるって感じ。」



「はい。」




西「あのさ…A。」



「ん?」



Aにブランケットをかけて
Aの正面にひざまずいた。


そして。




ポケットに忍ばせていた小さな箱を取り出して、
Aに渡す。



不思議そうに、
それを開けるA。




「え…、これ…って。」



中には、
キラリと輝く、
ダイヤモンドのリング。




「この前。

結婚しようって言ったじゃん?」




「はい…。」



「あの時。

ちゃんと準備もできてなかったからさ、
改めて。





速水Aさん。





俺と結婚してください。」




プロポーズの言葉。


色々考えたけど、
結局何もかっこいい言葉なんて
浮かばなかった。



西「一緒に、
家族を作ろう。



微笑みの咲く場所を、
幸せの花が咲く場所を、
一緒に作ろう。」




目の前のAの目がみるみる
涙でいっぱいになって、
雫がこぼれ落ちていった。

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設定タグ:AAA , 西島隆弘 , Nissy   
作品ジャンル:恋愛
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由希(プロフ) - 読みました。6も楽しみにしてます。読んでて涙が出てきます、切ないです。早く隆弘くんに助けに来てもらいたいです? (2019年4月10日 22時) (レス) id: 8944fa1049 (このIDを非表示/違反報告)
Takataka(プロフ) - 続きが気になって…お楽しみをありがとうございます (2019年4月10日 22時) (レス) id: e0f897fd84 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - 由希さん» ありがとうございます!続きは次枠でお楽しみくださいませ☆ (2019年4月10日 22時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
由希(プロフ) - 早速読みました、続き気になります、更新楽しみにしてます (2019年4月9日 23時) (レス) id: 8944fa1049 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» いつもありがとうございます!コメントいただけるとすごく嬉しくて励みになります!隆ヒーロー…隆弘っ!早く助けに来てね★ (2019年4月8日 21時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2019年2月25日 8時

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