歩む道。5

221 side Nissy ページ21

西「俺は。

実彩子と歌うの、好きだよ。
もちろん、メンバーみんなそうだけど。

実彩子の声と俺の声が重なる瞬間が
一番好きだ。」


実「にっしー…。」



西「結婚とか…

悩む気持ちは、すごくよくわかる。
今の俺もそう。


まぁ、女の子の方が考えること、
多いだろうけど…、


で、今回のことで、
ますます慎重にならざるを得なくなった。」


考えながら話す言葉は、
途切れ途切れになる。


こんなに実彩子が悩んでるのに、
今更、
実彩子とのことをバラされるかもしれなくて。



そしたら、一番傷つくのは実彩子だ。


西「正解なんてわからない。
それって、
誰が決めるんだろうな？


でも、誰がなんて言っても。


俺は実彩子と過ごしてきた時間が
間違ってたと思わない。」




実「うん。私も。」




西「それって今、幸せってことだよな？」




俺の問いかけに、
少しだけ笑って答える。



実「…うん。

遥斗くんと、付き合ってる。」




西「そっか。よかった。」




実「にっしー。

私。
まだ、歌うことを辞めたくない。
AAAでいたい。


千晃がいなくなっても。
AAAに私の居場所を求めても
いいんだよね？」



そんなの、当たり前だろ、


と後ろから声をかけられてビクッとする。


実「リーダー…。」


浦「AAAにいらない人間なんて一人もいない。


千晃のことは、俺だってまだ、
納得しきれていないけど。
なんでだよって気持ちが
大きいけど？


それでも、受け入れる。
待っててくれるファンのみんなのために
俺たちは、
ステージに立ち続けなきゃいけないから。


たとえ、
7人が6人になってもね。」



西「そう、だな。」



実「…うん。


さすが、リーダー！」



浦「ちゃんと、千晃と向き合えそうか？」



実「うん。」



浦「良かった。


なら、そろそろ行くぞ。
俺らが行かないと、打上げできないから。」


はーいと声を揃えた俺達は、
立ち上がる。


実「にっしー。リーダー。


ありがと。」



手を高く上げた実彩子と、リーダーと、
ハイタッチをする。

パン、と気持ちいい音がした。


あとからリーダーに聞いたところによると、
俺らの話を死角になる場所で聞いていたらしい
秀太、真司郎、日高、そして、千晃。


今このときも、
後から思い出せばきっと
いい思い出だなってみんなで笑い合える日が
来ることを祈って。



何が正しいかなんてわからないけど。



俺達の道を
歩いていくしかないんだ。

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