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「何の用…ですか?」
朱里「そこににっしー、いる?」
「答える必要ないと思います。」
精一杯平静を装った声で答える。
朱里「まぁ、そうだよね。
いない、なんて言いたくないか。」
その面白がってる声が、
心をザワザワさせる。
「用が無いなら切ります。」
朱里「もう切っちゃうのー?
じゃあ、
このあといいもの送るから、
ちゃんと見てね。
じゃ。
またね。」
私から切るはずが、
向こうから切られてしまう。
その後すぐ
写真が添付されたメールが届く。
見たくない、見ちゃだめだと思うのに。
手が勝手に添付ファイルを開く。
「…っ!」
そこには。
私が髪を切った日。
病院から車まで、
西島さんにおんぶされてる写真。
少し振り返り気味に微笑む西島さんと、
視線を合わせてる私の顔がちゃんとわかる。
それから、もう一枚。
西島さんが、実彩子さんを
おんぶしてる写真。
これ、今日…今なの…?
さっき別れたまんまの服装の西島さん。
西島さんの首にぎゅっと手を回し、
目を閉じてる実彩子さん。
本文には、
どっちを公開しようかな。
って、一文がついていた。
スマホを持つ手がブルブルと震えて、
もう片方の手で握りしめる。
どうしたら、いいの?
一人で決めちゃだめだとわかってるけど、
誰に言えばいい?
そしてまた、メールが届く。
〖かわいそうなAちゃん?
西島さん浮気かな?
それとも、本気だったりして〗
西島さんはそんなことしない。
〖やっぱり実彩子ちゃんのがいいんじゃない?〗
そんなことない。
そう思っても、次々に送られてくる、
同じような西島さんと実彩子さんの写真。
〖彼を奪いかえされて、
かわいそうなAちゃん。〗
〖きっと今日は二人きりで過ごすんだよね。〗
違う。
絶対にそんなことない。
西島さんは
ちゃんと帰ってくる。
〖略奪した分、略奪されればいい。〗
持っていられなくて
カタンと音を立てて床に落ちるスマホ。
息ができなくて苦しい。
久々にくる、この感覚。
倒れ込みそうになって
机に手をつく。
その衝撃でマグカップが倒れた。
バッグをひっくり返して、
ハンカチを取り出して口にあてる。
胸元の指輪を握りしめる
お願い、早く帰ってきて。
たか…。
たか…。
何度も西島さんの名前を心の中で呼ぶ。
そして、
私の意識は途切れた。
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リリィ(プロフ) - ao.aoさん» ありがとうございます!応援しただいて嬉しいです☆続編も楽しんでいただけたら嬉しいです☆ (2019年2月26日 14時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - idmさん» ありがとうございます!5も公開しました。引き続きお楽しみいただけたら嬉しいです☆ (2019年2月26日 14時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
idm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます!!続編も楽しみです(^^) (2019年2月23日 18時) (レス) id: 8b61c6c3c0 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao(プロフ) - 更新、楽しみに待ってます! (2019年2月22日 22時) (レス) id: c44633c2f8 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» コメントありがとうございます!色んな捉え方、ありますねー☆そこまでちゃんと読んでもらって嬉しい限りです☆ (2019年2月22日 8時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ | 作成日時:2019年1月1日 14時