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俺から離れたい?


その言葉に
何も言えずにいた私。



しんとした病室に
コンコンとノックの音がして
看護師さんが入ってくる。


慌ててうつむいて涙を拭う。


看護師「点滴、抜きますね。」



手早く処置をして、
帰るときに声をかけてくださいねと、
部屋を出ていった。


どうせなら、
今日は入院って言われたほうが良かったなぁなんて思いながら。



「ずるい。」



口を出たのはその言葉だった。



西「え?」




「西島さんはずるいよ…っ。



離れたくないから、苦しいし
一緒にいたいから、辛いのに。


そんな聞き方、ずるい!」




ベッド脇の椅子に座り、
膝の上に置いた自分の手を
見つめる西島さん。




「私は…。


苦しいし、辛いし。


この先何があるかわかんないから、
怖い…。



それでも、
離れたくないって思うくらい
たかのことが好きだよ。


私をこんなふうにしたのは、
たかだよっ!


こんなに好きにさせといて、
離れたい?なんて聞くなんて。



ずるいよ…っ!」


熱のせいなのか
気持ちが昂ってるせいなのか、
くらくらする頭。


息をしても、
体に酸素が入らない感覚で、
目の前が白く霞んでいく。



西「Aっ。」



座ってる姿勢を保てずに
ぐらりと傾いた体は
西島さんに抱きとめられる。




西「ごめん…。」




「私が…もし。


離れたいって言ったら…。

西島さんは、どうするんですか?」



抗いもせず、
体を預けながら逆に問いかけた私を
ぎゅーっと、
強く抱きしめる西島さん。




西「離さなきゃって、思っても
離せないかもしれない。


Aが離れようとしたら、
閉じ込めるかもしれない。
縛りつけて、
逃げられないようにするかもしれない。



俺だって。


そんなふうに思うくらいには、
Aが好きだよ。」



苦しいくらいに抱きしめられて。
感情を抑えようと、
声を震わせながら。


そう言ってくれた西島さんの言葉が
嬉しいだなんて。


恋愛って、
きれいな気持ちだけじゃないってこと。



これも西島さんが教えてくれたんだ。

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作品ジャンル:恋愛
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リリィ(プロフ) - ao.aoさん» ありがとうございます!応援しただいて嬉しいです☆続編も楽しんでいただけたら嬉しいです☆ (2019年2月26日 14時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - idmさん» ありがとうございます!5も公開しました。引き続きお楽しみいただけたら嬉しいです☆ (2019年2月26日 14時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
idm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます!!続編も楽しみです(^^) (2019年2月23日 18時) (レス) id: 8b61c6c3c0 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao(プロフ) - 更新、楽しみに待ってます! (2019年2月22日 22時) (レス) id: c44633c2f8 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» コメントありがとうございます!色んな捉え方、ありますねー☆そこまでちゃんと読んでもらって嬉しい限りです☆ (2019年2月22日 8時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2019年1月1日 14時

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