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チーフと一緒にタクシーに乗り込んだ私。
西島さんがかぶせてくれた帽子は、
少し私には大きかった。
だけど、そのおかげで周りの現実から
少しだけ守られている気がしていたし、
この不揃いの髪も見えない。
西島さんもそのつもりで
これを私に届けてくれたんだろう。
外の景色も見れず、
まっすぐ前を向くこともできず、
ただ、
膝の上で握り締めた自分の手を見ていた。
そこに、ぽたりぽたりと水滴が落ちて
やっと自分が泣いていることに気づいた。
仕事とプライベート。
きっちり線を引くべきだし、
引いてきたはずなのに。
なのにあの時西島さんに
掛けられた言葉は私の心に刺さった。
チ「速水？お腹空いてない？」
ぼんやりとさっきの出来事のことを
考えていた私に
チーフが問いかける。
「え？」
チ「お腹、空いてるよね？」
思い返してみれば、
朝ごはんから何も食べていなかった。
だけど、
食欲なんてこれっぽっちもない。
でもチーフは私の返事を聞かず、
運転手さんに言って
コンビニで一旦タクシーを停めた。
お店に入ったと思ったら
あっという間に両手にレジ袋を
提げて戻ってきた。
ホテルに着いて、
チ「私の部屋でいいよね。」
何も言わない私の腕をとり
チーフは自分の部屋に私を連れて行った。
ビールを差し出され
ぼんやりしたまま私はそれを受け取る。
チーフは自分の缶を開けると、
私の缶も開けてくれて。
コツンと合わせる缶の音。
チ「で？
全部話してくれるよね？」
その言葉に私は一口、
ビールを口にする。
冷たいビールはすごく苦い。
そして私は、
朱里さんとの出来事を話した。
見張られるように見られていたこと。
道路で突き飛ばされたこと。
アジアツアーの帰りの飛行機のこと。
手紙のこと。
そして、今日のこと。
チ「朱里がそんなこと…。」
驚いた顔で呟いたチーフ。
チ「そんなことが、あったんだね…。
ごめん。
気づいてあげられなくて。」
チーフは私に向かって申し訳なさそうに
言った。
「うまく対処できなかった私が悪いんです。
何より、仕事に私情を挟みました。
私…。
あの時。ドームでのライブという
大きな舞台を前にしていたのに、
マネージャーとしての判断が
できなかったんです。」
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リリィ(プロフ) - ao.aoさん» ありがとうございます！応援しただいて嬉しいです☆続編も楽しんでいただけたら嬉しいです☆ (2019年2月26日 14時) (
レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - idmさん» ありがとうございます！5も公開しました。引き続きお楽しみいただけたら嬉しいです☆ (2019年2月26日 14時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
idm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます！！続編も楽しみです(^^) (2019年2月23日 18時) (レス) id: 8b61c6c3c0 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao(プロフ) - 更新、楽しみに待ってます！ (2019年2月22日 22時) (レス) id: c44633c2f8 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» コメントありがとうございます！色んな捉え方、ありますねー☆そこまでちゃんと読んでもらって嬉しい限りです☆ (2019年2月22日 8時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ
| 作成日時：2019年1月1日 14時
