歩む道。2

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スマホは繋がったまま。


でも、届いた声は
スマホからじゃない。



西「Aっ！」



息を切らせて、走ってきた西島さん。



「うそ…なんで？」



西「よか…ったっ！

間に合った…？よな。



何も、されてない？」


薄い色のレンズのメガネをかけてるけど。


私を見る西島さんの心配そうな目が
見える。


「はい。」



私のことを庇うように背中に隠し、
唐沢さんと向き合う西島さん。



西「ごめん…。今の話。聞いてた。」



と私と通話中になってるスマホの画面を
唐沢さんに見せる。




西「申し訳ないけど、俺。

あんたに何をしたか、
全く記憶にない。」




唐沢さんが、ぐっと唇を噛んで
拳を握りしめる。



西「すべての人に受け入れられるとは思わない。


自分の信念を貫くことで、
無意識に周りの人を傷つけることもあるって、
わかってるようで、わかってなかった。


嫌な思いをさせていたのなら、
申し訳なかった。」



と、頭を下げた西島さん。



西「でも…。


それと、Aにしたこととは別。
こんな脅すような、
卑怯なやり方は許せない。」




唐沢「だから？」



西「このことは、上に報告する。

後は俺の決めることじゃない。
会社が決めることだ。

それでどういう処分がでても、
俺やAの関与することじゃない。」




「待ってください！

私、別に
何もされてません。

写真を消してもらえば
それでいいです。」



西島さんの後ろに立っていた私は、
西島さんの腕を掴んだ。


西「は？

それでいいわけないだろ？」



「だって！

唐沢さんと西島さんとの間で
何かあったとしたなら、
そこをうまく調整できなかった
私にも責任があります。


だから、辞めましょう、そういうの。
話せばちゃんと分かり合えるはずです。」



そんな私の言葉を聞いていた唐沢さんが、
口を開く。



唐沢「Aちゃんは甘いなぁ。

俺がこの場で写真を消したふりとかして、
それをSNSで流したらどうする？



事務所にバレるより厄介なことになるよ。

俺がこの写真を誰にも見せない保証なんて
どこにもない。」



厄介なこと…。
確かにそうだろう。


SNSというツールほど、
怖いものはない。


「だから、さっきも言いましたけど。


Nissyも、AAAの西島隆弘もそんなことで
躓くような仕事をしてきてないんです。」


そこは、自信を持って言える。

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