歩む道。2

88 side Nissy ページ38

西「あのさ…。」


俺はここしばらくの出来事をぽつりぽつりと、
話した。



西「Aの前では、
強い自分でいたい。

揺るがない俺でいたいのに。


全然かっこよくいられない。

メールのことを相談されたときも、
結局、何もできなかった。」


俺のその言葉を聞いた日高が
少し不思議そうな顔をして言った。



日「かっこよくいてほしいって、

Aちゃんが言ったの？」


西「え…？」


日「強い西島じゃないとだめだって言ったのか？」


Aの寝顔を見つめる俺に、
日高は問いかける。



日「逆に、西島は、
完璧なAちゃんじゃなきゃだめなの？

弱かったり、迷ったり、
悩んだりするAちゃんじゃ、
嫌いになるのか？」


西「そんなこと、あるわけない！」


日「だろ？

Aちゃんだってそうだと思うよ。


だってさ、
NYPの日。


弱さもずるさも、優しさも、
あとなんだっけ…

全部好きだ、みたいなこと言ってたじゃん。」


そうだ、いつだって俺はAの前では
かっこ悪い俺だった。

付き合う前から、
へこんでるとこも、弱いとこも、
ずるいところも、全部Aは知ってる。



日高「羨ましかったんだ、俺。

そんなふうに想いあえる相手と
出会えた西島が。


俺には、そこまで想ってくれる人も、
想う人もいない。」


西島「日高…。」


俺は思い出していた。


自分の存在が邪魔になることがあっても、
俺の隣にいたいといってくれたこと。

誰に許してもらえなくても、
俺を好きだと言ってくれた
真っ直ぐなAの言葉。


俺だって、
何よりAが大切で。


だからこそ、
どうにもならない現実にもがいてる。


日「もし、俺がお前なら。

どっちも手に入れるために、
死ぬ気で努力する。


この仕事をしてることで、
愛する人を諦めるなんて、




あり得ないだろ。」



そうだった。


仕事もAも、
どっちも手に入れる、

そう願っていたはずだ。



なのに、俺はどっちも失うことを
恐れていたんだ。


西「ありがとう、日高。

俺、なんか見えた気がするわ。」


おう、と言って
ニヤリと笑った日高と拳を合わせる。


日「答えは至ってシンプルだ。

欲しいものは、あきらめない。
絶対に手に入れる。」



俺は本当に、
いい仲間を持った。


目指す場所も、夢を追いかける方法も、
たぶん、違う。
でも、
帰る場所は同じ。


それが、AAAのメンバーだ。

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