歩む道。

18 side Nissy ページ18

別に俺は恋愛禁止のアイドルじゃない。


だけど、この仕事は、
恋愛も結婚も自由にできないのは確かだ。


スキャンダルになる程、
売れてる自覚はない。


俺なんかの熱愛報道がでても、
世の中的に何の価値もないだろう。


でも、ずっとＡＡＡを応援してきてくれてる
ファンの子は違うかもしれない。
疑似恋愛の対象であったりするのはわかってるし、
そういう狙いをもった歌も歌うし、演出もする。


だけど、もう俺も29だ。


Aとのことは、
ちゃんと将来も考えていきたいと思ってる。


だから。
事務所を納得させるためにも
仕事で結果をだすしかない。



「西島さん？どうかしました？」


西「ん？」


「なんか、ぼーっとしてたから。」


ふんわり笑うA。


やっと、手に入れた、
大好きな人。


Aは、俺の手を握って言った。


「私、もっと頑張る。
西島さんと並んで歩くのに、
ふさわしい人になれるように。」


その言葉を聞いて、
なんだ…、一緒だって、
思う。


西「俺も同じようなこと、考えてた。」


顔を見合わせれば自然に笑顔になる。


西「なぁ今日さ、仕事なんだっけ。」


「ＮＹＰの最終打ち合わせです。」


西「その後は？」


「ソロの仕事です。」


西「そっか、わかった。とりあえず、支度だな。」


そう言って立ち上がった俺を見て、
真っ赤になるA。


「はははだか・・・！」


西「昨日見たじゃん。」


「そうですけど！」


西「シャワー借りるね。」


目を背けるAがかわいくてついいじめたくなる。


西「その前に、さっきの続き、する？

けっこうよさそうな顔してたじゃん。」


ニヤリと顔を近付けると、


「なっ、にを言ってるんですか？

よさそうな顔って・・・。」


動揺しまくってるAがほんとにかわいい。


西「だってあの時、

もっとしてって言いたかったんじゃないの？？」


耳まで真っ赤になった、
Aが


「もう！ずるいっ！
西島さんばっかり余裕でずるい！


シャワー、どうぞ！

遅刻してもしらないんだから！」


ぷんぷんと怒りながら
寝室から出てくAの背中をクスクスと
こみ上げる笑いと共に見送る。


泣いたり笑ったり怒ったり。


そんな、素のAを、
もっともっとこれから、見ていきたい。

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