17話 ページ19
『っ…ほん…とに…無理です…』
「もう少しだから我慢しろ」
『っぅ……』
「っ、なんて声出すんだ君は」
『だって…お風呂のお湯でもしみたのにこんなの耐えられないです…』
「…そういう意味じゃないんだが」
『え?』
「はぁ…何でもない
ほら、終わったぞ」
『辛かった…怪我するより辛かった…』
「じゃあ怪我をしないでくれ」
手当てをしてもらった両手を見る
指には絆創膏がたくさん
手首には縛られた痕がくっきり
『今になって痛くなってくるとか…』
「それだけ必死だったんだろ?」
救急箱を閉まった降谷さんが隣に座って頭を撫でてくれる
久しぶりだし、心地よかったから大人しく降谷さんに身を預ける
嫌でも目に入ってしまう手の傷
それだけじゃない、私は普通じゃないくらい傷痕が多い
だから…嫌でも不安になってしまう
『……降谷さん』
「ん?」
『……ホントに…私でいいんですか?』
今まで不安に思ってたことを口にしてしまった
相当精神的にきてたのかもしれない
それを聞いた降谷さんが一瞬固まって
はぁ…っとため息を吐いた
『あ、あの…ふる……んっ』
言葉を何かで遮られた
それが降谷さんの唇だということに気がつくまでそんなに時間はかからなかった
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作者名:黒羽 | 作成日時:2019年5月11日 4時