第8話:誤解 ページ10
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依頼から帰ってきた次の日の朝。
私はあの後、また家に戻るなんて勇気はなく、近くのホテルに泊まった。
今日はなるべく太宰さんに会いたくない。
泣いてしまいそうな気がするから。
でもいつも通り行けば会うことはないだろう。
だって太宰さんは昼頃に来るから。
そう考えながら探偵社の扉を開いた。
『おはよ……』
言いかけて目を見開いた。
落ちている書類を拾う国木田さんと、何処か焦ったような鏡花ちゃん。
そして、固まっている太宰さん。
どうしてこんな朝早くに…?
太宰さんは私に気づくと顔を伏せながら此方へ近づいてきた。
『あの…』
太「……A…。婚約者って、どういうこと…?」
『婚約者…?誰のですか?』
太「Aの」
顔を上げた太宰さんは、今にも泣きそうな顔をしていた。
何でそんな顔をしているの…?
婚約者?私に?
何が何だか分からなくて混乱していると鏡花ちゃんが此方へ来た。
鏡「違うの。今回の依頼のこと、説明してて…私の言い方が悪かったんだと思う」
『依頼……あっ婚約者のフリのことですか?』
太「フリ…?」
私から今回の依頼のことを説明すると、太宰さんは少し目を見開いた。
そしてホッとしたように微笑んできた。
太「なんだ…よかった」
久しぶりに見た、私に向けられた笑顔にドキッとする。
太宰さんはそれだけ言うと自分の机に向かった。
《「よかった」》
太宰さんのその言葉と笑顔が私の頭から離れなかった。
私に婚約者がいるのかと心配していたのだろうか…?
あんな顔をされるとは思わなかった。
太宰さんが浮気しているのは知っているけれど…
まだ私の事を好きでいてくれているんじゃないかって、
期待してもいいですか…?
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アミ - 更新おめでとう御座います!太宰さんと夢主ちゃんが幸せになることを願っています!更新頑張ってください! (2020年4月21日 11時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
水月(プロフ) - アミさん» ありがとうございます!頑張ります(^^) (2020年4月8日 16時) (レス) id: b463e0700f (このIDを非表示/違反報告)
アミ - すごく面白かったです!更新頑張って下さい! (2020年4月8日 13時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
水月(プロフ) - あげはさん» わあぁそうなんですか!ありがとうございます。頑張ります! (2019年6月21日 21時) (レス) id: b463e0700f (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - (っω<`。)ドキドキです。大好きな作品で毎日続きを頭で気にしながら過ごしてます。頑張ってください。 (2019年6月20日 19時) (レス) id: b629904c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水月 | 作成日時:2019年6月10日 20時