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“雇用契約書”
と書かれた紙を私に差し出し
店長はまた開店作業を進めながら
こう言った。
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永瀬『ここの時給上げたら、辞めれるやろ？』
「……」
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契約書の中にある時給の記載欄を見て
私は言葉を失った。
永瀬『なに？…まだ少ない？』
「いや、いやいや、…わ、悪いですこんなに」
永瀬『あー、そっち？』
「当たり前です…、まだ半年も満たないのに」
まだ半年も満たない私に
こんなにも時給を上げてどうするんですか。
店長のお気持ちは嬉しいです。
ここを辞めろと言われなくて
私、嬉しかったです。
でも、これはさすがに露骨過ぎて。
上手く笑えない。
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永瀬『勘違いせんといて欲しいねんけど』
「……」
店長は、
少し冷たく表情を固めて
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永瀬『お前が可哀想とか、同情してるとか
それはマジで一切ないわ。100%ない。
その時給は数ヶ月お前を見てきた俺の中での、
お前の価値よ。それだけ出してもええと思ったから
時給を上げた。それが理由。』
永瀬『だから結果的に、
お前は掛け持ちせんでもよくなるし
俺の店に集中して働く事も出来るし
夜中にもう起きる必要ないし
お肌もプルプルなるし。な？良い事だらけ。』
そして最後に
店長は口角を緩めて
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永瀬『ここを続けたいなら掛け持ちを辞めろ。
で、誠心誠意を尽くして、お前はここで働け。以上』
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店長は、
急に恥ずかしくなったのか
私に背を向け台所へと向かう。
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「……」
私は、
店長から受け取った契約書を
ギュッと強く握りしめて
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「店長。」
永瀬『なんや』
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またまた、
目頭が熱くなり
私は思いきり頭を振って
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「…新聞配達を、辞めます。」
永瀬『………』
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そして、
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「誠心誠意を込めて、ここで働かせて下さい！！」
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涙目になりながら
それでも私は笑って
店長を見つめて言った。
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永瀬『…んふふ、…おう…宜しく。』
「はい！！…もぅ頑張ります私」
永瀬『ほどほどにしてくれ頼むから。』
「誠心誠意、努めさせて頂きます！！」
永瀬『…いや、誠心誠意忘れて。』
店長、
ありがとうございます。
やっぱり私は
.
店長が大好きです。
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ayu(プロフ) - にこさん» 他担さんですか！？ええ、嬉しい\(//∇//)\★店長永瀬に沼落ちでしたか！？やった★これからも私の自由な妄想にお付き合い頂けると幸いです★ (2021年6月7日 23時) (
レス) id: 48c3815e05 (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - ☆。..＊アイス＊..。☆さん» アイスさん(o^^o)最近、占ツク低浮上ですいやせぇん…m(_ _)m笑 どのお話も大好きだなんて…★もう、好き！アイスさん好きー！！！\(//∇//)\ふふふ (2021年6月7日 23時) (レス) id: 48c3815e05 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 初めまして☆他担ながら、こっそり拝見させて頂いてました！(笑)ayuさんのお話の進め方や言葉の選び方が本当に素敵で、引き込まれて沼落ちしたのがこの作品です！店長最高。どのお話もすっごく好きで、更新楽しみにしてます◎頑張ってくださいね。 (2021年6月7日 21時) (レス) id: 2beed3f33a (このIDを非表示/違反報告)
☆。..＊アイス＊..。☆(プロフ) - ayuさん！いつも楽しく読ませてもらってます！どのお話も大好きで大好きで…！Twitterの方にも感想を送らせてもらってます！あとコメントにありますが、題名や設定などは読んでいれば分かる話でしょう。ayuさん気にしないでくださいね！これからも楽しみにしてます！ (2021年6月7日 14時) (レス) id: b777a69647 (このIDを非表示/違反報告)
米 - 題名の『甘い夜』にした理由を教えてください。よく分からなかったので。 (2021年6月7日 13時) (レス) id: 6420a4fbbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年11月8日 7時
