～小さな世界～【永瀬廉】２ (ページ4)

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「ようやく左手のギブスが外れましたね！」

永瀬『うん。』

8月

永瀬さんがここへやって来て2ヶ月弱。

左手のギブスは外れて

今日から松葉杖を使えるようになった。

永瀬『これ脇、痛い。』

「ふふ、慣れるまでは痛いですよ。」

部屋の中で

松葉杖を使いウロチョロする永瀬さんの顔は

どこか嬉しそうで。

「自分で自由に動けると、嬉しいですよね！」

永瀬『うん、そうやな。』

ゆっくりと私の目の前に近づいてきて

やはり背の高い永瀬さんの顔を

私は見上げる。

「ん？」

永瀬『……』

永瀬さんは片手で私の頬を包み込み

そして軽いキスを落とす。

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「…っ！」

永瀬『キスしたい時に出来るしな。』

不意打ちに私は分かりやすく頬を染める。

そんな私を見て意地悪に微笑む永瀬さん。

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永瀬『俺の足が動けるようになったら何する？』

「…な、…何するって？」

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また私に、

甘い口付けをした後、

永瀬さんはそっと耳元でこう囁く。

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永瀬『キス以上の事していい？』

「……」

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ば、ばかーーーーー！！！

と思わず永瀬さんを突き飛ばす。

「な、なななな、ななにを言ってんですか！

こんな場所で、は、ははハレンチな！！ハレンチ！」

自分の顔を隠しながら

モジモジしていると、

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永瀬『…A、ちょ見て。』

「…え？……あっ！！」

部屋の中で尻もちをつく永瀬さんに

ようやく自分のした事を思い返し

「わ…ご、ごめんなさい！！だ、大丈夫ですか！？」

永瀬『…ふふ、突き飛ばさんといてよ。』

「…だって、…変な事言うから」

永瀬『一応、怪我人やから俺。…ふふ』

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あの日から

永瀬さんは患者様で

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永瀬『…そういう事したい。』

「…え？」

永瀬『……あかん？』

彼氏となった。

勿論、同期の海人も知らない状態で

私と永瀬さんだけの秘密で

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永瀬『てか、退院したら我慢出来る自信ないよ俺。』

「……」

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周りにバレないように、

今までと変わらないように、

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「…いいですよ。…その時は我慢しなくて。」

永瀬『……』

今はとにかく、

永瀬さんの怪我が早く治りますようにと

そう願うだけだ。

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