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ぬるい風が
二人の間を柔らかく通り抜け
頬を撫でる。
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「…大袈裟」
永瀬『……A』
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「………ほんと…大袈裟…で…す」
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私は
「……っ……」
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耐えていた涙が、
突然糸を切るかのように溢れ出した。
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永瀬『…嫌な事聞いてごめんな』
「……っ………ううん。…」
永瀬『おいで』
そう言って永瀬さんは
私の頭ごとギュッと包み込み
優しく抱きしめてくれた。
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ずっと誰にも言えなかった。
誰にも言えなくて、苦しくて
どうしようもなくて
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永瀬『………』
「……っ……う〜…」
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私の涙が止まった後も、
永瀬さんはとても優しくて
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永瀬『……時間大丈夫？』
「…大丈夫じゃない…かも」
永瀬『…んふ、A怒られる？』
「…怒られる。」
優しく頭を撫でながら
でもしっかりと腕は固定したまま
私を離そうとはしない永瀬さん。
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永瀬『じゃあ…行く？』
「…やだ」
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永瀬『…んふふ…了解。』
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不思議と、
長年の重りが
少し軽くなった気がした。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月23日 20時
