～小さな世界～【永瀬廉】 (ページ35)

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永瀬『…んふふ』

すると

永瀬さんの頬はゆっくりとほどけて

なんだかそれは嬉しそうに微笑んだ。

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「…わ、笑わないで下さい。」

永瀬『…ごめん、…ふふ』

「…笑わないでってば。」

何故か永瀬さんまで

顔を赤くして恥ずかしそうに笑う。

頬に可愛いシワなんて作って。

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愛おしい。

多分今の感情は、

これがすっぽりとハマる。

後頭部に寝癖のついた金色の髪も

右手で顔を触りながら笑う仕草も

全部まるごと

ギュッと抱きしめてみたい。

そんな衝動に駆られる。

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永瀬『……』

「……」

永瀬さんは

ほがらかな表情で私に濡れタオルを返してきた。

永瀬『投げんといて。』

「…あ、ごめんなさい。…つい」

永瀬『…んふふ、…ええよ。』

そう言って

そのままボタンを右手で器用に外して

上の服を脱いでいく永瀬さん。

「……」

見慣れた光景に何故か息をのむ。

今日はやけに、色っぽくて。

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「…ふ、拭きますね。」

永瀬『…ん。』

手の届かない所や、

背中あたりをメインで綺麗に拭いていく。

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下半身は海人に任せて

主に上半身を綺麗にしていく。

そのままベット上で洗髪も行う。

「痒いところ無いですか？」

永瀬『うん。』

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永瀬さん

髪、伸びてきたなぁ。

金色に混ざる黒髪。

なんとなくその流れで

今更な事を言ってみた。

「ふふふ、派手な髪色ですね。」

永瀬『……』

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だけどその瞬間

永瀬さんの背中に影を作る。

「…永瀬さん？」

永瀬『……』

そして、

また黙り込んでしまった。

私、余計なこと言ってしまったかな。

変な空気になり

私はすぐに謝ろうとした時、

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永瀬『汚ったない色やろ。』

「…え？」

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何かを諦めるように

悲しく笑う永瀬さん。

永瀬『…俺みたいにな。』

「……」

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孤独を埋めるように悲しく笑う。

今にも、消えてしまいそうだった。

そんな顔、しないで。

諦めるような顔、しないで。

私にだけは、そんな顔…

しないでよ。

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