～小さな世界～【永瀬廉】 (ページ36)

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あの後、

なんて言っていいのか分からなくて

黙り込んでしまった。

俺みたいに。

そこにどんな意味が込められているのか

何故か怖くて聞けなかった。

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だけどその日からまた

永瀬さんはちゃんと目を見て

私と話をしてくれるようになった。

別に喧嘩をしたつもりはなかったけど

でも良かった。

なので、そろそろ。

そろそろ、いい加減に

聞かなくてはいけない現実。

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永瀬『家族はおらん。』

「……」

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なんだろう。

この、

やっぱり感は。

とても失礼な感情を

必死で打ち消した。

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「…そ、そうなんだ。」

永瀬『入院費ならちゃんと払うから。』

「…や、別に、そこはいいんだけど。」

淡々と話を進められて

私の方が、なんだかぎこちなくなる。

永瀬『…んふ、…なんやその顔。』

「…いや。」

身寄りが居なくても今の時代

入院だって出来るし結局は関係ない。

でも、家族がいない。

この事実はやっぱりちょっと

永瀬『母親は俺が小さい頃に死んだ。』

「……」

永瀬『親父は何処おるか知らん。

名前も変えて、今頃どっかで逃げ回ってんちゃう。』

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わぁお…

なかなかハードな事を…

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永瀬『ひいた？』

「…え？」

勝手に気まずくなる私を見て

永瀬さんは静かに声にする。

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永瀬『俺の事、ひいた？』

「……」

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私は真っ直ぐに目を見て

首を横に振る。

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「ひかない。全く。」

永瀬『……』

これは正直な思いだった。

永瀬さんの境遇なんて

私には関係ない。

安心するように微笑む永瀬さん。

それでいいの。

その姿を見ているだけでいいの。

目の前に居るあなたの姿に私は惹かれて

「惹かれてッ！？」

永瀬『び……っくりした…』

「え！？あ、…ごめんなさい」

急に大声を出してしまい

永瀬さんを驚かせてしまった。

惹かれて？

惹かれてって私言ったよね。

永瀬『…どうしたん』

「はぁえ！？…」

永瀬『ふふ、なんやそれ。』

いやいやいやいやいや～

そんなそんな～

私が？

永瀬さんに？

まさかぁ～

アハハハハハハハ～

ハハハ…

ハハ…

永瀬『……？』

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え？

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