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永瀬『……。』
「……。」
一度離れた唇は
またすぐに重ねられる。
あの時とは違って
優しく丁寧なキスが繰り返される。
.
「…れん」
永瀬『…なに。』
私は頬を染めながらも
廉の胸に手を置いてキスを止めた。
「…花火、終わってる。」
永瀬『そやな。』
「…うん…っ……ちょ…廉ってば……」
それでもなかなか止めようとしない廉を
今度は強めに叩く。
永瀬『なに？』
「一応、…ここ外だから。」
永瀬『そんなん知ってるよ』
「人に見られる」
永瀬『ええやん、別に。』
廉は私の肩をグイッと引き寄せ
またまたキスを迫ろうとしてくるので
永瀬『…。』
廉のほっぺを両手でパチンと挟む。
永瀬『強い。痛い。』
「……ふふふ。」
口がムニュっとなる廉の顔が
可愛いくてつい笑ってしまう。
廉はちょっと不服そうだけど。
「…そろそろ、帰ろっか。」
永瀬『………。』
顔をむにゅっとされたまま廉は
首を横に振る。
「帰らない？」
永瀬『帰らない。』
「ふふふ、…じゃあ、どうするの？」
.
廉も同じように、
私の頬を優しく包み込む。
永瀬『…もうちょっとだけ、一緒におって。』
「……。」
永瀬『あと、5分でいいから。』
.
廉を愛おしいと思った。
廉の事をもっと知りたいと思った。
.
明日からも、
当たり前のように廉の側に居れたら。
「…うん。」
ずっと一緒に居れたら。
なんて、思ってしまう。
永瀬『…ごめんやっぱ、あと5時間』
「ふふ、バカ。極端だな。」
永瀬『んふふふ…』
.
これからの事なんて考えたくなくて、
別々の場所で過ごさないといけないなんて
未だに信じられなくて
.
.
「……」
永瀬『……』
ずっとこのままで
そう強く願うように、
お互い身体を強く抱きしめ合い、
そして、
.
永瀬『…A。』
「…ん？」
.
“ずっと離れないで”
.
.
永瀬『…やっぱなんもない。』
「………」
と、願うように心でそっと呟いた。
.
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月8日 14時
