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日は沈み始め、周りの景色がオレンジ色に染まる。
廉は、携帯に表示された時刻を確認し
永瀬『そろそろ行く？』
「うん。」
そう言って自然と私の右手を引いて
花火がよく見える場所へと向かった。
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その場所は人も少なく
いわゆる穴場スポット。
丁度座れるような所もあり
よいしょーー、と廉は脚を広げてそこに座る。
私も廉の隣に座ると、
永瀬『……』
「……」
なんか、急に静かになった。
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去年まではここに、紫耀も居た。
屋台で買ったものを3人で食べている内に
いつの間にか花火終わってたねぇー
なんて言いながら笑って帰るのが毎年恒例。
まさか今年は
廉と二人きりだなんて思わなかったな。
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永瀬『紫耀と話したんやな。』
「…え？」
永瀬『…昨日、聞いた。』
少し言いづらそうに
下を向きながら廉は言う。
「…うん。」
永瀬『…そか。』
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目を閉じて、
何度も頭の中で繰り返した言葉を
もう一度胸に置く。
自分の手をギュッと力強く握り、
私は小さく口を開いて
「…廉、あのさ。」
永瀬『ちょ、ちょっ、待ってくれへん？』
「え。」
でも、それはすぐに止められた。
廉は私の目の前に手の平を向けながら
ふーー、と分かりやすく深呼吸をする。
「…だ、大丈夫？」
永瀬『…大丈夫、大丈夫。…ごめん、続けて。』
「え？…あ、うん。」
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そんな事をされると
私も緊張が増すんだけど。
「…この間の返事、なんだけど。」
永瀬『…うん。』
「…私、」
永瀬『だぁあああああああああああ！！！！！』
「ッなぁに！？」
今度は思いっきり大きな声を出して
私の言葉に被せてきた。
「…ちょっと、」
永瀬『…違ッ、…いや、その虫！！虫がな？』
廉は虫を避ける仕草を私に見せつけてくる。
そんな廉を冷めた目で睨み付けると
今度はしょんぼりと小さく縮こまってしまった。
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「ねぇ、」
永瀬『…急に自信無くなった。』
「え？」
永瀬『………』
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こんな会話をしているとはつい知らず
空気の読めない色鮮やかな花火達が
柔らかい口笛のような音を鳴らした後、
永瀬『…いや、タイミング。』
私達の目の前で
バーーン、と盛大に大きな花を咲かせた。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月8日 14時
