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永瀬『今年も人多いなぁ〜』
「ふふ、ほんとだね。」
浴衣姿の人々で溢れ、屋台が並び、
美味しそうな香りに包まれて
私達は一気にお祭りモードへと入る。
「ねぇ、廉何食べる?」
永瀬『やっぱ食う事しか考えてへんやんお前。』
「…なっ!!…違う」
永瀬『ハハハッ、嘘。冗談。』
意地悪な事を言ったと思えば
何食いたいん?とすぐに優しい口調に変わる。
「焼きそば。」
永瀬『お、ええやん。』
「あっ、待って。…唐揚げもあるよ廉!」
私は廉の肩をトントン叩いて
唐揚げの方へ指を指すと
パッとその指を掴まれる。
永瀬『んふふ、…買ったるから落ち着け。』
「……へへ」
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そして掴まれた手は、ギュッと優しく握られる。
永瀬『……』
「……」
バチッと視線が重なると
お互い照れるように笑って誤魔化した。
永瀬『…フッ、…やばい普通に出来ひんわ俺今日。』
「…ふふふ。」
永瀬『…めっちゃ恥ずかしいねんけど、なにこれ。』
ずっと一緒に居たのに不思議だね。
私も、なんか緊張するよ。
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なんて言っていたのも束の間。
「おいしぃ」
永瀬『ちょーだい』
「はい。」
永瀬『手塞がってるから俺。口ん中入れて。』
「……」
あ。
と可愛く口を開けて待つ廉に
熱々の唐揚げを一気に放り込む私。
永瀬『…っ!!!…あっふ!!!』
「アハハハハハハッ!!ハハハッ…!!」
永瀬『むりくわえへん、こえ』
「ふふふ、え、なに?なんて?」
永瀬『しゃえらぇへん』
熱すぎて上手く喋れなくなった廉に
私は大笑いをした。
永瀬『ベロ火傷した。』
「あら、大変。」
永瀬『お前のせいやろ。治して。』
「あ、ねぇ!!りんご飴食べたい!!」
廉の手を引っ張りながら
いろんな屋台を見て回った。
射的ゲームでは周りにいる子供よりも夢中になるし
お目当ての景品が取れなくて落ち込んじゃうし
永瀬『…んふふ、なぁ見て大量に取れた。』
「…ずいぶん取ったねぇ〜」
永瀬『俺も自分で驚いてる。』
「ハハハッ!!ちょっと引いてるじゃん。」
金魚すくいは異常な程に上手かったり。
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作者名:ayu | 作成日時:2020年10月8日 14時