21 ページ21
.
するとすぐ近くから
なんとなく熱い視線を感じて
そちらに顔を向けてみると、
頬杖をついた廉が
何やら言いたげな顔をして
私の顔をじっと見ている。
.
「…な、なに。」
永瀬『……』
「……」
そしてすぐに視線をそらされた。
.
.
.
平野『…はああーーー、疲れたぁぁあ。』
「ねぇ今日はもうやめよ。頭回んない。」
なんだかんだで
英語、数学のテスト範囲を
ある程度頭に叩き込む事が出来た私達。
永瀬『俺、トイレ行ってくる』
平野『んー。』
ぐーーっと身体を伸ばして
ようやく永瀬鬼教師から解き放たれた私は
床に仰向けになって寝転ぶ。
「…疲れた。」
平野『お前、そんな所で寝るなよ?』
「ふふふ、分かってるよ。」
すると私の真似をするように
隣で一緒になって仰向けに寝転ぶ紫耀。
平野『A。』
「んー?」
顔だけをこちらに向けて
紫耀は穏やかに話し始める。
平野『絶対、会いに行くから俺。』
「え?」
平野『Aが遠くに行っても、会いに行くよ。』
そう言って優しく微笑むから
私も寂しく笑う。
平野『ねぇ、A。』
「なに?」
.
紫耀は私から目をそらし
そのまま天井を見つめる。
平野『廉に何言われたか知んないけどさぁ』
「………」
.
__もう我慢すんの辞めるわ俺。
.
平野『俺は廉みたいに計算が得意じゃないから、
だから、思った事そのまま言っていい?』
紫耀の横顔、声、言葉に
激しく心臓が鼓動し始める。
この後の紫耀の言葉が、想像出来てしまうから。
紫耀は上半身を起こして
私の上から見下ろしながら、
ゆっくりと口を開き、
.
平野『…俺さ、』
「……」
ガチャ
永瀬『……』
平野『……』
トイレから戻ってきた廉の表情に一切の温度は無く、
ただひたすらに紫耀を見下ろす。
一方で紫耀も、
そんな廉を睨みつけているような…
永瀬『なに?』
平野『いや?なにも。』
二人の間に変な空気が漂う。
今までとなんら変わらない空気
と、先程まではそう思っていたけれど、
やっぱりどこか
平野『廉さぁ、』
永瀬『…』
平野『本当にトイレ行った?』
永瀬『は?』
何かが違うような。
平野『戻って来んの早かったから。』
1935人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayu | 作成日時:2020年9月29日 20時