特別編 ページ46
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「………」
あれから廉とは
予想以上に会えない日々が続いた。
＿＿あんま連絡もとられへんと思う
廉は今、
地方での撮影と東京の仕事を行き来していて、
連絡すらもまともに取れない。
頑張って。
身体には気をつけて。
無理をしないで。
と携帯で文字は打ってみるものの
結局は送れずにいるメッセージ。
言われなくても廉は頑張っている。
体調管理だって人一倍してる。
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「…私に出来ることなんて無いか。」
不安、というよりかは
寂しい、という感情が膨らんでいく。
胸の奥につっかえた想いを
吐き出すようにため息をついて私は、
ベットでゴロンッと仰向けに寝転び、天を仰ぐ。
「…早く、会いたい」
廉に早く会いたい。
待ってるって、案外辛いものね。
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ガチャ
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「…っ！！」
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すると突然、家の鍵が開く音に
驚きでビクッと肩が跳ね上がる。
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私はとっさに時計を見る。
時刻は23時。
こんな時間にまさか…
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『Aーー』
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玄関の方から聞こえてくる愛おしい声に
私は喜びのあまり小走りでそちらに向かった。
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「…れん！」
永瀬『早よ来て』
「え？」
永瀬『いいから』
玄関先では
手を大きく広げて立っている廉が居た。
私はいろんな感情が一気に溢れ出し
そこに向かって思いっきり飛びつくと、
「れん！！」
永瀬『…ふふ、A久しぶり。』
廉の香りで心地よく包み込まれる。
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温もりを感じながら
互いに強く身体を抱きしめ合う。
会いたかったよ。
本当、ずっと会いたかった。
だけど、
「こんな時間にビックリした。」
永瀬『ごめん、…すぐ帰らんとあかんねんけど。』
「……。」
なかなか靴を脱ぐ気配が無かったのは
そういう事か。そうだよね。
永瀬『ちょっと充電。』
「…そっか。よしよし。」
永瀬『…ん。』
廉の背中を優しく撫でる。
基本的に廉は弱音を吐かない。
しんどい時や、辛い事もきっと沢山あるはずなのに
それを他人に見せるのが苦手な人。
だから、
＿＿ちょっと充電
この言葉に詰まった廉なりの弱音が
少し聞けた気がして、私は嬉しかった。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月19日 1時
