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特別編 ページ45

.







永瀬『A。』


「んー?」






台所に立ち、食器を洗っていると突然、

後ろからギュッと廉の腕が腰に巻きついてきた。






「ふふっ、どうしたの?」


永瀬『いや、報告があんのよ。』






私の肩にちょこんと顎を乗せながら話す廉。

耳を傾けながらも、私は食器洗いを続けていると






永瀬『朝ドラ決まった、俺。』


「え?凄いじゃん!」


永瀬『うん。』


「…ふふ、え?どうしたの?」






なんとなく廉の声にぎこちなさを感じて

なに?と笑いながら聞いてみると、






永瀬『でも、あんま見んといて』


「………。」






.






私は洗い途中の食器を静かに置いて

自分の手を一度洗い

ゆっくりと廉の方へと身体の向きを変えた。






ゆらゆらと薄茶色の瞳を揺らして、

どこか複雑な表情をした廉の顔を、

私は両手で優しく包み込む。






「恋愛もの?」


永瀬『…んーー』


「そうなんだ。」


永瀬『…んふふ、そんな顔すんなよ。』






廉は、

私のほっぺをつまみ意地悪に笑う。

きっと、気まずくならない様に。






「キスもする?」


永瀬『…ん?』


「やっぱ言わないで。」


永瀬『…ふふ、うん。そうして。』






あーあ、駄目だなぁ私。

素直に、おめでとう!!凄いね!!

って言ってあげたいのに。






でも廉はそんな私を優しく抱きしめて






永瀬『あんま連絡もとられへんと思う。』


「うん。…そうだね。」


永瀬『地方の撮影やから会うのも減るし』


「…うん。」






廉の背中に回した腕を、

私も徐々に強く締め付ける。






永瀬『待っててくれる?俺の事。』


「…待つよ。」


永瀬『浮気したらあかんで。』


「ふふふ、…馬鹿。」






そう言うと廉は

“冗談よ”

と笑いながら私の髪を撫でてくれた。






「好きって言って。」


永瀬『今は嫌。』


「なんでよ。」


永瀬『…んふふ、後で何回でも言うたるから。』


「はい?」






“早く洗い物終わらせて”

と耳元でそう囁いた後、

廉は私にそっと触れるだけのキスをした。






.







ヤキモチ妬いてごめんね、廉。






待ってるから。






だから、ちゃんと帰って来てね。






.

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設定タグ:永瀬廉   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ayu | 作成日時:2020年9月19日 1時

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