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お店の前にもズラーっと並べたお花達。
そのディスプレイなんかも、
私はこまめに変えたりする。
しゃがみ込んで、
んー。
と、何を置こうかと悩んでいると、
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私の店の前に、ある男性が立ち止まった。
その男性はキャップを深く被り、
そして、ゆっくりとお花の前にしゃがんで座る。
キャップの襟足から金色の髪がチラッと見えて
腕や指にはゴールドのアクセサリー
オーバーサイズのTシャツと
ダメージの入った細身のジーンズ。
派手な人だなぁー。
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「いらっしゃいませ。」
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一応、
その人に聞こえるように
私は遠くから声をかけてみるも
「……。」
その男性は、
キャップのツバで顔を隠したまま
頭だけをペコっと下げるだけ。
恥ずかしいのかな。
でも、分かるかな？
花には、全然詳しくなさそうだけど。
でも、いきなり話しかけると
嫌かもしれないね。
私はそのままディスプレイ変えに集中するフリをして
そのお客様の様子を伺う事にした。
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するとその男性は
ある花に手を伸ばす。
それは、真っ赤なバラ。
わぁお…
ロマンチスト男子。
やっぱりプレゼントかな。
そろそろ、声掛けてみるか。
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距離は保ちつつ、
「そのバラ、綺麗ですよね。」
『……え？』
「ふふふ、色が鮮やかでしょ。」
『…あー、…そぉっすね。』
お。
返事してくれた。
相変わらず顔は見せてくれないけど。
すると、
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『これ、あげたら喜ばれます？』
「え？」
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『…贈り物なんすけど。』
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「………。」
あっ！！
私は店の奥にある時計を見て
ようやく思い出した。
14時だ。
「…もしかして、お電話下さった方ですか？」
『………んふふ、はい。』
「ごめんなさい、気付かなくて！！」
『ふふっ、…ほんまっすよ。』
こんな派手な方だと思わなくて。
と、言いかけて慌てて口を手で押さえた。
私はゆっくりとその人の隣に行き
そして同じように花を見ながら
しゃがんで座る。
「バラ、絶対喜んでくれると思いますよ。」
『…そうすかね。』
最初はこの方の独特な雰囲気に怖さはあったけど
この人の声はどこか懐かしくて
心が温まる。
なんか、不思議な感覚。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月19日 1時
