検索窓
今日:4 hit、昨日:18 hit、合計:511,715 hit

48 ページ48

.






永瀬『A、あかんで。』






私の肩に埋もれるように顔を沈めたまま

廉は話し続ける。






「…なにが。」


永瀬『俺の気持ちに気付いてるやろ。』


「……。」






もう、伝わりすぎるくらい

露骨に態度に現われる廉の愛情表現。






それは

出会ってすぐの時から

割と早めに気付いていた私。






それは自分の想いも含めて

知らないフリ、気付かないフリをして

今の今までやってきたのだけど。






永瀬『本間ずるい。』


「…廉は、気付いてないの?」


永瀬『なにが。』


「……私の気持ち。」


永瀬『気付いてる。』






なんだそれ。

じゃあ、お互い様じゃん。






.






ゆっくりと顔を上げて

寒さと恥ずかしいとで頬を真っ赤にした廉が

私を見つめる。






私も、目をそらさない。






お互い、瞳の奥を見据えて。






.







永瀬『……戻ろか。』


「うん。」


永瀬『家戻ったら気が変わってるとかないよな?』


「…ないよ。」


永瀬『まぁ、変わってても逃がさんけど。』






.







逃がさないで。






.






帰りは、

とても静かだった。






お互い一言も話すことなく

来た時に出来た足跡をひたすら辿って。






でも、

しっかりと握られた手には

いつも以上に力が込められた。






ゆっくり、一歩一歩踏みしめて

白い息を吐きながら肩を寄せ合い

同じ場所へと帰る、雪の道。






.






そして、ようやく家に着き

ガラガラ〜と引き戸を開けると、

既に準備をしておいた薪ストーブのおかげで

家の中は暖かい。






玄関で座りながら長靴を脱ぐ私達。






脱ぎ終わった私は

立ち上がろうとした時、






「…わぁ!……っ!!……」






下から手首を引っ張られ






.






そのまま吸い寄せられるように

廉のキスが始まって。






私は、再び廉の胸を叩き

軽く突き放す。






永瀬『…なんでよ。』


「…この格好でするの?…しかもここで?」


永瀬『Aの気、変わるかもしらんやん。』


「…変わらないってば。…お風呂も入りたいし。」






.






.






.






__じゃあ一緒に入る?






.






.






だんだん外の、

霜が鋭くなってきた。






良かった、早くお家に戻ってきて。






氷を粉末にしたような雪が顔に当たると、

あれ痛いんだよなぁ。






さ。






廉も私も






早く身体を温めないと、

そろそろ風邪引いちゃうね__






.

ayuから→←47



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (497 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1228人がお気に入り
設定タグ:永瀬廉   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ayu | 作成日時:2020年9月15日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。