～ネコ日和～【永瀬廉】 (ページ42)

今日:7 hit、昨日:28 hit、合計:511,009 hit

42 ページ42

.

永瀬『早よ食お！』

「…うん。」

フォークを持って座る廉の前に

急かされるように私も座る。

永瀬『いただきます』

「いただきます」

クリスマスソングなんて歌わないし

クリスマスツリーなんて物もない。

プレゼントもないし雰囲気なんて全くないけど

.

永瀬『…すげぇ…めっちゃ美味いねんけどこれ！』

「ふふふっ、甘過ぎなくて良いでしょ。」

永瀬『お上品になった気するわ俺。』

紅茶と真っ白のケーキ

ベージュのニットを着た

ゆるふわヘアーの廉が目の前で笑っている。

大したことしてないのにね。

なんか、すごく特別な日のように感じるよ。

.

.

「ごちそうさまでした。」

永瀬『メリークリスマスでした。』

「ハハハッ、なにそれ。」

永瀬『…んふふふ。』

.

.

食器を洗い、のんびりした後、

別々でお風呂に入り、そして。

永瀬『じゃあ、おやすみぃー』

「…うん。おやすみ。」

あっさりと別々の部屋で眠る私達。

.

あの日から

廉は気持ち悪いくらいに

お利口さんになった。

たまにふざけた事は言うけれど

手を繋いだり、キスをしたり

なんて事は全くない。

それでいいの。

いいんだけど。

.

.

永瀬『あっ、A！』

2階に上がろうとする私を

またもや廉は大声を出して引き止める。

「なに？」

永瀬『メリークリスマス。』

「……は？」

永瀬『フハハハハハッ！！ごめん、それだけ。』

意地悪に笑いながら廉は

そんな事を言うためだけに

わざわざ私を引き止めたのだ。

別に、期待なんてしてない。

.

「……おやすみ。」

永瀬『……。』

あと数ヶ月、

今まで通り過ごせばいい。

何もなかったように

私達は、丁度良い距離感で。

.

あと、数ヶ月。

.