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聞けば答えてくれるかもしれないけど、
聞きたいような、聞いてはいけないような、
聞きたくないような、
「それに、来年には居ないから。」
理由はそんなとこ。
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足りなくなった調味料なんかを買い揃えた。
廉もそろそろ終わる頃かと思い、
私は売店を出た。
すると、
永瀬『A〜！』
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大きくこちらに手を振り、
とても爽やかな表情をした廉が
私の元へと小走りでやってきた。
「ふふふ、いーじゃん。黒髪。」
永瀬『やろ？』
軽くなった廉の髪は、
黒く染められていた。
前髪を少し分けて、
相変わらずゆるふわなヘアスタイルだけど、
「似合ってる。」
永瀬『んふふふ、注文が多い言うて怒られたわ』
「ふっ、おじいちゃんにお礼言った？」
永瀬『おん。しかも、なんか貰ったで。』
少しだけ大人っぽくて、
さっきよりも緊張している自分がいた。
自然と私の持った荷物を
廉に奪われる。
自然と肩を並べて商店を歩き、
永瀬『なんか雑草？みたいなん貰った。』
「んふふふ、雑草？なに、見せて。」
永瀬『ん。』
同じ方向に向かって行き、
「あ、ヨモギだね。あと、たんぽぽの葉。」
永瀬『…よう分からんけど。なんなんそれ。』
「ふふふ、よし！今日はこれで天ぷらにしよぉ！」
永瀬『マジ！？…えぇ〜、葉っぱやでそれ大丈夫？』
そして、
同じ家に帰り、同じご飯を食べて。
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永瀬『…美味い…ぅまいわ…これめっちゃ美味い！』
「あははっ、あんなに嫌がってたのにね。」
永瀬『たんぽぽ、食ったん初めて俺。』
「案外いけるでしょ？」
永瀬『…いや、絶品よ。』
これが、当たり前になってしまうのが怖い。
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「たんぽぽって春の花なのに、
どうして夏にも咲くようになったんだろうね。」
永瀬『さぁ、てか春の花なんや。たんぽぽって。』
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たんぽぽの花の部分を
お箸で掴んで眺めて見る。
「…秋も、冬も、一年中ずっと
咲いてくれたらいいのにね。」
永瀬『……。』
ほんのり苦味もあって、大人な味。
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このほろ苦さが、ちょっと癖になりそうで
私はそれをかき消すように
飲み込む前に、冷えた麦茶で流し込む。
不思議な、そんな夏だった＿＿
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月15日 10時
