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「隣町に行くの？」
永瀬『おん、髪切りに行きたいねん。』
「確かに、伸びて来たね。」
前髪を触りながら話す廉は
どうやら伸びてきた髪が気になるらしい。
「行ってきたら？」
永瀬『え、Aついて来てくれへんの？』
「うん。行かない。」
だって、隣町でしょ？
「ここから隣町なんて1日かかるよ。」
永瀬『えっ、1日！？』
「うち、車もないし。自転車しかないもん。」
永瀬『…まぁじ！？…え、俺ロン毛なんの？』
きっと普段は、小まめに行っていたのだろう。
モサモサした髪を触りながら、
廉は明らかに困った顔をした。
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「ふふふ、村の中心に理髪店ならあるよ。」
永瀬『…いや早よ言うて、それ。』
「ごめんごめん。じゃあ明日行く？」
永瀬『行く行く。』
廉のモコモコになった髪を、
私も触ってみる。
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「ふふっ、プードルみたいで可愛いのに。」
永瀬『……。』
目を丸くして
大人しく触られるがままの廉が、
より一層、小動物みたいで可愛いくみえた。
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次の日、
朝の作業を終えた後、
廉と2人で村の中心にある役場の理髪店に向かった。
そこは、小さな薬局や商店などもあり
私も月に1回だけはココに来る。
永瀬『じゃあ、あとでぇ〜』
「うん、買い物して待ってるね」
永瀬『イケメンなって帰ってくるわ。』
「ふふふ、早くいきなよ。」
村のおじいちゃんが営む理髪店。
廉は、躊躇することなく
そのお店に入って行った。
いつもはもっと、
綺麗な美容室に行ってるんだろうな。
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さすが、小さな村。
「Aちゃん、男と住み始めたんだってぇ？」
「なぁーに、凄いイケメンなんだってねぇ！」
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売店に行けば、
この話題で持ちきりだ。
主婦のおばさん達に囲まれた私。
「んー、私もよく分からないんだけどね…」
なにしてる人？
いくつの子？
何処からきたの？
何故Aちゃんの家に？
そして、こうして質問攻めに合うけれど
「…本当、名前しか知らないや。」
それ以外、なにも答えられなかった。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月15日 10時
