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会場のアナウンスが流れると、
一気にライトが明るく付いて現実に戻される感覚。
暴れ回った自身の服を整えて、リュックを背負い
って、そうだ！
そういえば隣の方にハンカチのお礼をしなきゃ。
私は思い付いたかのように、
隣へと身体ごと振り向き、
「…あ、あの……先程は、」
頭を下げかけて
『……！』
「……！」
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目の前であんぐり口を開けた人物と目が合い
私はフリーズする。
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時が止まる。
頭の中で、秒針が鳴る。
「……」
『……』
一体どういう事だ。
なんだなんだ、この状況は。
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ライブ後に嫌過ぎる幻覚が見えた。
私はまるでそれをかき消すよう目の前の景色に
手で触れて
永瀬『…触んなボケ』
「し、しゃべった…！」
永瀬『…いやいやいやいやいや…、ちょ待って…』
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私はそいつを上から下まで凝視する。
なんだね。
まるで優太様のファンみたいな格好をして。
全身、紫じゃないか君。
紫のバンダナに、首から優太様のタオル
左手にはペンライト……
ど、…え？
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「ぇええええええええええええええええ！！！！？」
永瀬『……終わったわ、……マジで…』
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あ、急に海人です！
あははッ！！腹抱えるよねこれ。
あーおもしろ。
広い広い会場で
明らかに不穏な空気を纏った2人。
頭を抱えしゃがみ込む男と、
それに指をさし悲鳴をあげる女。
一生交わる事の無さそうな男女に
まさかの共通点があった。
「え、え！？え、なななな、永瀬く」
永瀬『あ"ーーーも、うっさい…黙れお前』
「いや、これが黙っていられますか！だ、だって」
永瀬『おぉーーなんやなんや！何が言いたいねん』
「…まさか、…ゆ、優太様の」
永瀬『ガッチガチのファンや、悪いか！えぇ！？』
あーー…あー、大声だして。皆見てるよ2人とも！！
はぁ…やれやれ。
とにかくこの2人の、唯一の共通点。
それは、
「いや、認めないです、それは」
永瀬『お前に何で認められなあかんねん』
「紫、全然足りてないですよ今日」
永瀬『え？…ど、どこがよ…』
「ほら、永瀬くんの靴下が＿＿」
オタクであるという事＿＿
てか、
それより新曲…癖やばくない？笑
俺には理解出来ないよ全く。
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作者名：ayu
| 作成日時：2021年1月31日 1時
